95.冬想祭当日 ページ18
you said
冬想祭当日、約束の時間が迫っていた。
「答えは決まったのか？」
「まあ……、ね」
「それならいいけどな、後で後悔するなよ」
「……善処する」
使い魔とそう受け答えしながら、彼女はミルカに袖を通した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ここどこ！？」
迷った。
ぴくとさんに、簡単な地図の一つでも貰えば良かった、と言っても後の祭りだ。
もう日が沈みかけている。早く行かないと、ダンスパーティーがはじまってしまう。
rd「あれ、A、こんなとこで何してるの？」
「らっだぁさん！」
rd「俺は冬想祭を少し見てこようかなー、と思ったんだけど……Aも行く？」
箒を片手にそう聞いた彼に、私はすがった。
「お願いします！連れてってください！」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
雪の国の空を、私達は飛んでいた。
星々のビロードの下を、彗星のように駆け抜ける。
他の国だって冬なのだから、空気が冷たいのは当然だが、この国はそれを通り越して痛い。
rd「こうして飛ぶのも、久しぶりだよねぇ」
「そうですね」
私は相変わらず、彼の腕の中に収まっている。そろそろ自分の箒を買うべきだろうか。
rd「……ねえ、聞こうと思ってたんだけどさ」
「はい？」
rd「その……、ミルカを着て冬想祭のダンスをやるってことは、まあ、そういうことだよね？」
至近距離で、青い瞳が揺れた。
「そうですけど……、まずかったですか？」
私は、仮にも王の血を引く人間だ。勝手に恋人を作っていいものなのか、彼に聞いておくべきだったかもしれない。
rd「いや、今のAは王族じゃないからいいけど……、その……」
彼は言葉を探しあぐねているらしい。だが、やがてこう言った。
rd「何か……、寂しいな、って」
「え？」
rd「俺にとっては、Aが唯一の家族なんだよ。でも、Aに好きな人ができたら、何だか距離ができちゃうような気がして……」
後ろで、ティアが鼻で笑った。
「フッ……w、妹をお嫁にやるお兄ちゃんかよ」
rd「ティアは黙っててくれる？」
実際彼にとってはそうなんだろう。両親も兄弟もいない以上、血が一番近いことに代わりはない。
「……大丈夫ですよ。今までも、これからも、ちゃんと家族です」
私は、そっと彼の背中に手を回した。
rd「……ありがとう」
空気は冷たくても、心は暖かかった。
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ぽいぽい(プロフ) - 鈴蓮さん» 全然気にせず、自分の好きなよーに書いちゃっても大丈夫ではないでしょうか？俺はどんな展開でも楽しみですよ^ ^レス失礼しました。 (2019年7月19日 22時) (
レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蓮(プロフ) - ぽいぽいさん» コメントありがとうございます！実は恋愛系を書くのは苦手で、自分で自分の首を締めたことを少し後悔していたり……笑 (2019年7月19日 18時) (レス) id: 4a95fce3d1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 初コメいただきます。お話に甘酸っぱさが出てきましたね^ ^国と国との関係も、人と人との関係も、これからの発展が楽しみです。更新無理せず頑張ってください。 (2019年7月18日 21時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
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