89.贈り物 ページ12
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次の日。予想よりも夜遅くに到着したらっだぁさん達に会いに行く訳にもいかず、朝、彼らを訪ねることにした。
別に一人でもよかったのだが、ゾムさんが一緒に行くといって聞かなかったので、後ろにいる。護衛のようなものらしい。
rd「A〜!久しぶり〜!!」
部屋に入った瞬間、顔を輝かせてらっだぁさんがこっちに駆け寄ってきた。
「お久しぶりです。長旅お疲れさまでした」
rd「いや本当に長かったよ……。Aはどうやって来たの?」
寝台列車に乗ってきました、と言うと、寝台列車って何?と帰って来た。
ゾムさんの力も借りて何とか分かるように説明すると、皆さんは感心したように相槌を打った。
reu「寝ながら国境を越えられるのか……、そりゃいいなぁ」
con「俺らは途中野宿とかあったもんね〜」
md「……もう真冬の雪の国になんて絶対来ない」
一晩休んでもまだ疲れているのだろう、緑色さんはソファーを占領して横になっていた。
kyo「らっだぁ、お前、Aさんに渡すもんあったんやろ?」
rd「あ、そうそう」
渡す物?と首をかしげると、らっだぁさんは両手を差し出した。
rd「A、手を貸して」
後ろでゾムさんが警戒したが、私は首を振って抑えさせた。
そのままらっだぁさんと手を繋ぐ。
rd「手に魔力を集中させて」
言われた通りに目を閉じて集中すると、彼の手から魔力が流れてきた。氷のような冷たさだ。
ただし、心臓が縮むような冷たさではなく、火照った体に氷を押し付けたような心地よさを感じる。
目を開けると、手の中には杖があった。
らっだぁさん達が使っていたような地面に突くタイプの物ではなく、指揮棒のような短くて軽いやつだ。
「これ……」
rd「Aにあげる。お姉さんからは貰ってないでしょ?」
「……いいんですか?」
rd「もちろん」
魔法使いにとって、杖とはその象徴であり、大切な道具でもある。
師匠から杖を贈られるというのは、一人前になったと認められたことと同義だ。
魔法使いとしては、嬉しいことこの上ない。自然と笑みがこぼれた。
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ぽいぽい(プロフ) - 鈴蓮さん» 全然気にせず、自分の好きなよーに書いちゃっても大丈夫ではないでしょうか?俺はどんな展開でも楽しみですよ^ ^レス失礼しました。 (2019年7月19日 22時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蓮(プロフ) - ぽいぽいさん» コメントありがとうございます!実は恋愛系を書くのは苦手で、自分で自分の首を締めたことを少し後悔していたり……笑 (2019年7月19日 18時) (レス) id: 4a95fce3d1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 初コメいただきます。お話に甘酸っぱさが出てきましたね^ ^国と国との関係も、人と人との関係も、これからの発展が楽しみです。更新無理せず頑張ってください。 (2019年7月18日 21時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
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