第四十七舞『契約の覚醒』 ページ47
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アイザックは、横浜の家々の屋根の上を走っていた。
避難が完了している為か、誰一人として見当たらない。
拳銃を片手に、全力で走る。
灰色の煙が濃い。
サクリファイスの影響で、動く度に足に痛覚が走る。
しかしそんな事は気にせず、ヘリからの射撃すらも全て躱す。
「…
口角を上げ、上空のヘリに向けて発砲する。
アイザックの銃弾は、ヘリの硝子に当たり、割れる。
するとヘリはふらふらしながら、落下して来る。
あの男…アイザックの父親が、ヘリに乗って居ると見た。
あの男の性格上、この街が死んで行くのを特等席で見たい筈だ。
ヘリが落ちる場所は大きな交差点。此処なら他の建物に被害は出ない。
アイザックは、此処まで走って誘導したのだ。
交差点の中心に、ヘリが墜落する。
アイザックは屋根から飛び降り、墜落したヘリにゆっくり近付いた。
歩いてヘリに近付くアイザック。
アイザックの歩いた地面が赤く凍る。
体全体から、冷気が放たれる。
「化け物…!」
ヘリを操縦して居たであろう男が、墜落したヘリから顔を出し、アイザックに銃口を向けた。
放たれた弾丸は 真紅の氷で凍らされ、そのまま砕かれる。
いつの間にか、空間が真紅の氷で凍って居る。
「…邪魔だよ、あんたに用は無い」
アイザックは男を蹴り飛ばし、奥に居る父親を見た。
「この街を…救うと?貴方にそれが出来るとでも?」
アイザックの父親であるシンガーは、アイザックにそう云った。
「あんたが…」
アイザックの背後から、真紅の氷が溢れ出した。
この真紅の氷の量。アイザックは何処からも出血して居ないのに、不思議だった。
「あんたが…彼奴を傷付けたのか」
アイザックの周囲の灰色の煙は、真紅の氷で凍結し…赤い粒子へと変化した。
凄まじい殺戮の衝動と怒り。感情が溢れる様に、赤い粒子が青年の周りを渦巻いた。
「あぁ、成程…しかし
シンガーの言葉に、アイザックは静かに笑う。
「一緒に沈んでやるよ。俺もあんたも、この街に居ちゃいけない」
横浜の街全体が、赤く光った。
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要注意異能力者___内務省異能特務課より
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - かれぇらいすさん» ほわ〜!!ありがとうございます!!二次創作ではどれも画像に規制がかかっており、誤字修正の際に申請通してない画像は全部消えてしまって、アッ…となりました…ヒィ...とても申し訳ないです…!あいざくんはこれからも描くので、何卒…ッ!!!! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
かれぇらいす - 久し振りに読み返してます!ところで第三十一舞のアイザ君のすんばらしいイラストはもう見れない感じですか…?私の端末だと写らない(?)のですが…(´・ω・`) (2020年3月16日 0時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» わ〜!ありがとうございます!文スト自体が流血沙汰なので回避しきれない案件です! (2019年9月27日 15時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - χCielχさん» 第一章を読み切りました。アイザックさんも、厄介な過去をお持ちですね汗。根は、レイくんににていますね。細かいところは違いますが... 。少し休憩してから、続編を読んで、いきます。余談、シエルさんの、文スト、どうしても、流血沙汰に(苦笑)。 (2019年9月26日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 那佳さん» ぎえええ!?もしそうならとても嬉しいです(*´-`*) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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