第四舞『跋扈する瘴気』 ページ4
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肌寒い夜の筈だった。
やけに明るい炎が、太陽の様にして燃え上がる。
炎を見詰める野次馬、悲鳴、子供の鳴き声。
通行止めをし、消防隊を待つ警察。
炎の凄まじさに、敦は首筋に冷や汗を流す。
すると、敦の真横を緩やかに歩く青年が居た。
その青年は、目の前の炎に歩み寄る。
騒々しい音が沢山ある中で、青年の足音だけが響いた。
敦は 咄嗟に青年の手を取り、足取りを止めた。
手首を敦に掴まれた青年は、目を丸めて敦の方に振り返る。
綺麗な金髪、真紅の瞳。
太宰にも引けを取らない程の、整った顔に驚いた。
「あ…えっと、危ないですよ!近付かない方が」
青年は、敦に笑い掛ける。
「大丈夫」
ぽかんとした敦の手から、青年の手首がするりと抜ける。
敦の次に、今度は警察が彼を止める。
「君!此処は危ない、もう時期に消防隊が来るから」
「それは遅い。退けよ、
先ほどの敦とは、明らかに対応の違う青年。
青年は、懐から
殺気の溢れる瞳で、警察官を睨み付ける。
その短刀は、警察官を切り付けるのではなく、
青年は、自分の手首を深く切り裂いた。
「き、君…何をしているんだ!」
警官が彼に怒鳴るが、青年は至って冷静にこう云う。
「いいから下がって。危ねぇから」
火事現場の前に一人、異国の青年が立ち塞がる。
手首からの大量出血…。青年の顔が痛みで歪む。
青年は深呼吸をし、唱える。
「____血と愛は、欲望の儘に。此世界に跋扈せよ。」
青年の声と共に、手首から滴り落ちる鮮血は、真紅の氷へと化す。
彼の周りに、赤い文字がふわりと浮かび上がる。
同時に、青年の身体が
強気の表情をするが、膝を着いてしまう。
「……凍れ、三流異能____!」
敦の前に広がるのは……真紅の氷が、炎をみるみる凍結させる、属性的に有り得ない光景だった。
そうして倒れる青年を、警察が身元確認の為に連れて行こうとした所、
「まま、待って下さい!この人は探偵社の知り合いで…あはは、後はお任せします!」
敦が慌てながら、金髪の青年をおぶる。
敦には、この青年を放って置く事は出来なかった。
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要注意異能力者___内務省異能特務課より
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - かれぇらいすさん» ほわ〜!!ありがとうございます!!二次創作ではどれも画像に規制がかかっており、誤字修正の際に申請通してない画像は全部消えてしまって、アッ…となりました…ヒィ...とても申し訳ないです…!あいざくんはこれからも描くので、何卒…ッ!!!! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
かれぇらいす - 久し振りに読み返してます!ところで第三十一舞のアイザ君のすんばらしいイラストはもう見れない感じですか…?私の端末だと写らない(?)のですが…(´・ω・`) (2020年3月16日 0時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» わ〜!ありがとうございます!文スト自体が流血沙汰なので回避しきれない案件です! (2019年9月27日 15時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - χCielχさん» 第一章を読み切りました。アイザックさんも、厄介な過去をお持ちですね汗。根は、レイくんににていますね。細かいところは違いますが... 。少し休憩してから、続編を読んで、いきます。余談、シエルさんの、文スト、どうしても、流血沙汰に(苦笑)。 (2019年9月26日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 那佳さん» ぎえええ!?もしそうならとても嬉しいです(*´-`*) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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