第十一舞『唯我の炯眼』 ページ11
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引っ掛かっていた理由が、
夢の中の『ダザイ』と云う男が、今此処に居る太宰だという事。
同じ名前なのかも知れないが…太宰なんて名前は、中々無い。
自然と足を運んだのは、太宰の寝室だ。
「太宰」
この時間だ、当然寝て居るだろう。
アイザックは左手に短刀を握り、背に隠して居た。
「…如何したの」
太宰が返事をした事に驚いた。
起きていたと云うよりかは、アイザックの声で起きた様だ。
「…あんた、俺の事知ってんだろ」
アイザックの質問に、太宰は寝惚けた様子で答える。
ふわ、と
「…知らない方が良いだろう、君の事は。知れば後悔する事になる」
太宰の曖昧な回答に、アイザックは太宰の上に乗り、太宰の喉元に短刀を突き付ける。
「ありゃ、随分と大胆だね」
「大事な事を…忘れてる気がする。もう、俺にはあんたしか
居ないんだよ。判るだろ」
横浜の一匹狼のゴロツキ。まだ子供ながら、頼れる者も、
縋る場所も無かった彼の反動が…全て太宰に向けられていた。
青年の強気の視線に、太宰はやれやれと小さく溜め息を吐いた。
太宰は、首元に突き付けられた短刀を握る。
握った掌から、血が滲み出る。
太宰の血を見た瞬間、身体全体に電撃が走る感覚がした。
咄嗟にアイザックは 太宰の手首を強く握り、短刀から手を放させる。
「莫迦か…!あんたの傷は、簡単には治らな…」
咄嗟のアイザックの行動に、太宰は微笑する。
窓から入る月明かりが太宰を照らす。
その表情は…酷く、喜んでいる様に見えた。
「…其れだよ、君が知りたい…君と云うのはね」
アイザックには、その言葉の意味は判らない。
「…消毒液、何処にあんの。あと包帯」
太宰があっち、と指を差す。
「あと、温かい飲み物を飲みたいかな」
「…はぁ?…面倒くせ」
アイザックが、太宰の片方の掌を手当てしている中、
太宰は、もう片方の手で珈琲を飲んでいた。
「一寸ぉ、これ熱すぎないかい?」
「あんま動くなよ」
太宰が
「…仕事が終わったら、アイザ君。君を連れて行きたい所があるんだ」
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要注意異能力者___内務省異能特務課より
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - かれぇらいすさん» ほわ〜!!ありがとうございます!!二次創作ではどれも画像に規制がかかっており、誤字修正の際に申請通してない画像は全部消えてしまって、アッ…となりました…ヒィ...とても申し訳ないです…!あいざくんはこれからも描くので、何卒…ッ!!!! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
かれぇらいす - 久し振りに読み返してます!ところで第三十一舞のアイザ君のすんばらしいイラストはもう見れない感じですか…?私の端末だと写らない(?)のですが…(´・ω・`) (2020年3月16日 0時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» わ〜!ありがとうございます!文スト自体が流血沙汰なので回避しきれない案件です! (2019年9月27日 15時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - χCielχさん» 第一章を読み切りました。アイザックさんも、厄介な過去をお持ちですね汗。根は、レイくんににていますね。細かいところは違いますが... 。少し休憩してから、続編を読んで、いきます。余談、シエルさんの、文スト、どうしても、流血沙汰に(苦笑)。 (2019年9月26日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 那佳さん» ぎえええ!?もしそうならとても嬉しいです(*´-`*) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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