第二舞『呼称の烙印』 ページ2
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太宰の声と同時に、地下室に居た黒服全員が道を開けた。
「太宰か…済まんの、この童が中々に頑固でのう」
「まぁまぁ姐さん。私も、この少年の事は一度見て置きたかったしね」
と、
「…少年、名前は」
太宰は、冷たい目で少年に問う。
少年は俯いたままだ。
「おいお前、答えろ」
身体付きの良い黒服が、少年の髪の毛を引っ張り、無理矢理
太宰の方に顔を向かせる。
少年は少し、不機嫌そうにこう答えた。
「……アイ、ザック…」
それは初めて、少年が口にした…唯一の少年の情報だった。
少年の瞳には、尋常ではない殺意が宿っていた。
「おや、素直な少年じゃないか。それじゃあ、幾つか私の質問に答えてくれるかい?」
太宰は少年を見詰める。
太宰を、今にでも喰い殺さんと睨み付ける少年には、微動だにもせず。
ふと、少年は静かに笑った。
「…ヤだね」
と、太宰に向けて ほんの少し舌を出す。
少年の行動に、周囲の部下がざわつく。
太宰が腹を立てる様子は、特には無い。
「姐さん、悪いけど…二人にして貰える?その方がやり易い」
「判っておる」
尾崎はそれ以上は何も云わず、部下を連れて地下室を出る。
「……却説、噛み付いたら駄目だよ」
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__
____夢を見ていた。
酷い夢だ。
淡い金色の髪、真紅の瞳をした…退屈そうな瞳。
異国特有の肌の白さをしている。
青年が眠っていたのは、廃工場だった。
自分が何故、何時からこの様な生活をしているのか…。
青年自体に、その記憶が無いのだ。
気付けば、この辺りでは名の知れたゴロツキになっていた。
激しい頭痛で、青年は髪をぐしゃりと掴む。
「…だざい……」
夢では、確かにそう云った名前の男が居た。
たかが夢だとは思うが、あれ程までに鮮明だと違和感を覚える。
『ダザイ』と云う男が、もしも自分の事を知っているとしたら。
その男を探すに、賭ける事しか出来ない。
何しろ青年は、自分の名前と、異能しか覚えていないのだ。
青年の名は、アイザック・バシェヴィス・シンガー。
能力名____『
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要注意異能力者___内務省異能特務課より
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - かれぇらいすさん» ほわ〜!!ありがとうございます!!二次創作ではどれも画像に規制がかかっており、誤字修正の際に申請通してない画像は全部消えてしまって、アッ…となりました…ヒィ...とても申し訳ないです…!あいざくんはこれからも描くので、何卒…ッ!!!! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
かれぇらいす - 久し振りに読み返してます!ところで第三十一舞のアイザ君のすんばらしいイラストはもう見れない感じですか…?私の端末だと写らない(?)のですが…(´・ω・`) (2020年3月16日 0時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» わ〜!ありがとうございます!文スト自体が流血沙汰なので回避しきれない案件です! (2019年9月27日 15時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - χCielχさん» 第一章を読み切りました。アイザックさんも、厄介な過去をお持ちですね汗。根は、レイくんににていますね。細かいところは違いますが... 。少し休憩してから、続編を読んで、いきます。余談、シエルさんの、文スト、どうしても、流血沙汰に(苦笑)。 (2019年9月26日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 那佳さん» ぎえええ!?もしそうならとても嬉しいです(*´-`*) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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