第七舞『穢れた豪傑』 ページ7
____
__
『おい、何だ手前…その体術』
あれは、どれ位前の事だったか。
太宰が連れて来たあの餓鬼。
危険な体術使い。あの餓鬼には多少苦戦した。
マフィアの狗と云うよりかは、太宰の番犬に等しかった。
銃や剣術。あの歳で、かなり戦闘に特化して居た餓鬼。
俺の体術を教えてやる事もあったか。
四年前…太宰がマフィアから居なくなって直ぐ、
____彼奴は、任務で死んだ筈だった。
黒い帽子、黒い外套。
橙色の髪を靡かせる。
中原中也は、ポートマフィアの首領、森鷗外の直々の命令で、単独調査をして居た。
昨日の大火事のあった現場、廃工場の内部に調査をしに来た。
消防車が駆け付けた時には、既に炎は鎮まっていたと云う。
情報によると、真紅の氷が出現したらしい。
氷の破片が残っていれば、血液検査をして人物を特定し、更に深く調べる事が出来るのだが、
それが如何だ。何一つ残っていない。
「…太宰か」
中原は確信した。太宰と居合わせ、太宰が全てを無効化したのだと。
「チッ、あの青鯖野郎。手間取らせやがッて」
太宰の顔を思い浮かべると、無償に腹が立って来る。
思い切り地団駄を踏んで居ると、背後から人の気配を感じた。
「んだよ、居ないのかよ
掠れた男の声がした。
中原が後ろを振り向くと、何十人と云う屈強な男が出口を塞いで居た。
「あァ?ケガレ?」
中原は男達に問う。
「廃工場に入って行く奴が居るもんだから…アイツかと思ったぜ。お前、ケガレの知り合いか?」
中原には判る。この男達は、横浜のならず者達だ。
「なァそいつ、金髪で赤い目の糞餓鬼の事か?」
見た所、三十人は居る男達が、そうだと意見が一致する。
中原は口角を上げ、こう云った。
「ハッ、懲りねェみてェだなァ…手前ら、彼奴にやられっ放しなンだろ」
中原の言葉に腹を立てる男達。
相手が、ポートマフィア幹部、中原中也だとも知らずに。
「俺達ぁな、最高に機嫌が悪ぃんだよ。死んでも知らねぇぜ」
その言葉を聞いた中原は、更に追い打ちを掛ける。
「彼奴に敵うと思うかァ?彼奴に体術を教えたのは俺でもある。笑わせンなよ」
目の前の男達は、一斉に中原に襲いかかる。
「いいぜ、愉しませろよ」
全ては、一瞬。
_
要注意異能力者___内務省異能特務課より
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
817人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
χCielχ(プロフ) - かれぇらいすさん» ほわ〜!!ありがとうございます!!二次創作ではどれも画像に規制がかかっており、誤字修正の際に申請通してない画像は全部消えてしまって、アッ…となりました…ヒィ...とても申し訳ないです…!あいざくんはこれからも描くので、何卒…ッ!!!! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
かれぇらいす - 久し振りに読み返してます!ところで第三十一舞のアイザ君のすんばらしいイラストはもう見れない感じですか…?私の端末だと写らない(?)のですが…(´・ω・`) (2020年3月16日 0時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» わ〜!ありがとうございます!文スト自体が流血沙汰なので回避しきれない案件です! (2019年9月27日 15時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - χCielχさん» 第一章を読み切りました。アイザックさんも、厄介な過去をお持ちですね汗。根は、レイくんににていますね。細かいところは違いますが... 。少し休憩してから、続編を読んで、いきます。余談、シエルさんの、文スト、どうしても、流血沙汰に(苦笑)。 (2019年9月26日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 那佳さん» ぎえええ!?もしそうならとても嬉しいです(*´-`*) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ