第十歩 ページ10
_
「あら？もうおしまい？相澤くんの隠し子」
「神崎は隠し子じゃないです」
先ほどまでのヒーロー基礎学の一部始終を、相澤と香山…もとい、ミッドナイトがモニタールームで監督していた。
ミッドナイトが相澤をからかうように言えば、相澤が真面目に返答するものなので、「冗談よ」とミッドナイトは肩を竦めた。
「隠し子くん、氷に捕まっちゃったけれど、授業終了のアナウンスはしないのかしら」
「いやだから隠し子じゃ…もういいです。見て居れば分かると思いますが、神崎は悪知恵だけは働きますよ」
ミッドナイトの「隠し子」という言葉を否定し続けても言われるから無駄だ。合理性に欠けるので、相澤はスルーする事にした。
逃亡中のヴィラン役である神崎は、既に轟の氷結で捕えられて居る。それは明白だ。しかしながら、相澤は授業終了のアナウンスはしない。
この瞬間こそ、授業として価値ある瞬間なのだから。
＿＿＿＿
＿＿
一方、運動場。
「いや参った。許して」
迷い無く降参する神崎ヴィラン。脚から胴、腕を凍らされて身動きが取れずに居る。頭部は無事なのでどうにか話せる。
「本当に降参してんのか」
轟はそう言いながら、温度を調節して緑谷の氷結だけを器用に溶かした。
緑谷は麻酔の効果で力が入らず、轟に肩を貸してもらっている様子である。
「してるよ。こうなっちゃどうしようもない。投降するよ」
神崎は至って真面目な顔で、少し残念そうに言う。おまけに体温の急低下で、とても顔色が悪く衰弱した様な表情もうかがえる。
轟は神崎のその様子を見て、神崎の氷に触れて熱を与えた。
みるみる溶けて行く氷結を視界に居れた緑谷は、轟に何かを伝えようと必死に口を動かした。
「…っろ、き、くん…！めだ……！」
＿＿＿＿轟くん、駄目だ。神崎先輩は炎を使える。自分で氷を溶かそうと思えば溶かせる。これは試されてるんだ、罠だ。
「……なんだ緑谷。目？」
違う違う！と緑谷は心の中で叫んだ。口が動かないのが憎い。
「あは…。どうもありがとう」
氷結から抜け出せるほどに氷が溶けた時。神崎の軽い声がした。
「演技が上手いヴィランだって居る。手を抜いちゃいけないよ」
このフロア一帯の氷を、神崎は自分の炎で溶かし、目くらましの水蒸気を大量に発生させた。これで逃げる時間を作るつもりだ。
「惜しかった。二人とも凄いや。とても一年生とは思えないね」
_
BASTARD to be continued＿＿＿＿？
話数ぴったりのため、ここでの挨拶で失礼します。この度はお話を読んで下さりありがとうございます。一段落したので完結と言う形になりますが、もしも続編が出来たなら、改めてお知らせ致します。それではまたいずれ、お会いしましょう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 602人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソラノイロ - ヒーローにならなくても、人生は続いて行く…何ですかこの神小説は…！？ (2022年12月10日 23時) (
レス) @page50 id: a15aad9fab (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ひながきさん» ヴッ！！！！ありがとうございます…書ききってよかったです…！！ (2021年12月12日 22時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - 神ですか？仏ですか？ってくらい面白かったです。 (2021年12月10日 1時) (レス) @page50 id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 冬空さん» こんにちは！！3周！？？ああああありがとうございます！！好きと言っていただけてとても嬉しくて私も発狂します((((こちらこそお付き合いくださりありがとうございました！！！ (2021年9月2日 7時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
冬空(プロフ) - こんにちは！神崎くんが好きすぎて3周目をしてたら完結コメントをしていないことに気づき、発狂しかけてる者です、、遅くなってしまいましたが、完結おめでとうございます！！ (2021年8月31日 12時) (レス) id: 01a8377650 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
