第四十二歩 ページ42
_
『タイムジャック』事件後。
明るい朝日が辺りを照らしていた。
神崎が電話で呼んだ緑谷が、轟など消火に有効な個性を持つ生徒を連れ、プロヒーローの手が回らなかった消火活動をした事で、火事で最悪の事態になる事は免れた。
といっても、街は火の海だったが。緑谷達が来なければ、もっと悪化していただろう。
＿＿＿＿大病院にて。
個性の限界突破。その消耗で体を動かす事が出来ない神崎が病院に運ばれ、ベッドに横になっていた。
今、神崎は眠っている。眠っている神崎のベッドの横に椅子を持って来ては、そばに座る男性の姿があった。
それは相澤だった。『感覚操作』の個性も解けて、相澤の目は無事に見えている。
「……全く」
一年前もこうだった。力を使い果たした後昏睡状態になって、しばらく目を覚まさなかったのだ。またそうなるのでは無いか。そう思うと心配でたまらない。
「また留年する気じゃないだろうな。今の一年坊と同じクラスになってもいいのか」
眠る神崎に向かって、叱るように言った。
「……起きろ、問題児」
ついには本音が出てしまう。小さな声ではあったが、確かに「起きろ」と。冷静な相澤であるが、今の神崎は…一年前の状況とあまりにも酷似しているから。
起きろと声をかけて起きるものじゃあないと正気に戻って、相澤は俯く。
「………ふ」
少年の小さな笑い声に、相澤は顔を上げた。見ると、神崎が口元を手で押さえて、くすくすと嬉しそうに笑っていた。
「お前……」
「あ、」
狸寝入りがバレて「あ」と声を出した神崎は、布団を頭まで被って誤魔化し、寝たフリを続行しようとする。
まだ笑っているのか、布団が小刻みに震えている。相澤はその布団を鷲掴み、神崎から取り上げた。
「わあっ！ちょっと、おふとん返してよ」
「ずっと寝た振りしてたな、お前」
「だって、消太さんに叱られると思って。寝てたら叱られないかなって」
「お前はまたそう…はぁ」
相澤がため息を吐いた。なにより昏睡状態になっていなくて良かった。
「大丈夫だよ、消太さん」
「何が」
神崎は優しい声と表情で、相澤に笑いかけた。
「俺、もう消太さんのこと一人にしないって決めてるから。一人にすると、ろくなもの食べないし」
消太さんが結婚して幸せになるまではね、と。神崎は付け加えた。神崎の発言に、相澤はまたため息を吐く。
「…生意気を言うな」
_
BASTARD to be continued＿＿＿＿？
話数ぴったりのため、ここでの挨拶で失礼します。この度はお話を読んで下さりありがとうございます。一段落したので完結と言う形になりますが、もしも続編が出来たなら、改めてお知らせ致します。それではまたいずれ、お会いしましょう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 602人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソラノイロ - ヒーローにならなくても、人生は続いて行く…何ですかこの神小説は…！？ (2022年12月10日 23時) (
レス) @page50 id: a15aad9fab (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ひながきさん» ヴッ！！！！ありがとうございます…書ききってよかったです…！！ (2021年12月12日 22時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - 神ですか？仏ですか？ってくらい面白かったです。 (2021年12月10日 1時) (レス) @page50 id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 冬空さん» こんにちは！！3周！？？ああああありがとうございます！！好きと言っていただけてとても嬉しくて私も発狂します((((こちらこそお付き合いくださりありがとうございました！！！ (2021年9月2日 7時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
冬空(プロフ) - こんにちは！神崎くんが好きすぎて3周目をしてたら完結コメントをしていないことに気づき、発狂しかけてる者です、、遅くなってしまいましたが、完結おめでとうございます！！ (2021年8月31日 12時) (レス) id: 01a8377650 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
