第三十二譚 ページ32
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荼毘は氷室を壁に押し付けたまま、氷室の首を締めている。氷室は苦しさに歪んだ顔をするが、へらりと笑った。
「…はは、…わかった、降参」
氷室は両手を上げ、ヒラヒラと振った。胡散臭い笑みをしながらそう言うと、荼毘の手が離れる。それと同時に蒼炎も消えた。
「…けほ、あー…、あんたのせいで家ん中焼けちまったじゃん。どうしてくれんの」
「おまえが急に飛びかかって脅したのが悪いだろ」
荼毘は元々戦うつもりなんてなかった。相手が氷室ならの話だ。別の誰かならば口封じのために殺していただろう。
どっと疲れてしまって、氷室はダルそうに床に座り込んだ。
「おまえ、顔はあんま変わんねぇなあ。変わったのは身長と声くらいか。最初分からなくて燃やしちまう所だったよ」
荼毘はポケットに手を突っ込み、氷室を見下ろして言う。氷室は不穏な笑みを浮かべながら荼毘の事を強気の瞳で見上げる。
「何？あんた俺の何なわけ」
氷室のこの様子。先ほどからおかしい。…記憶喪失と見ていいだろう。荼毘はそう確信した。
「認知症かよ。ジジイかおまえ」
「おいもう一回やんのか。次こそ殺すよ」
「俺の方が先に殺せるけどな。やらねえよ」
…記憶喪失の氷室雪弥。確かに纏う雰囲気が、昔と全然違う。今目の前の氷室は、『悪魔』とは言い難い。せいぜい不良少年と言ったところ。
「あんた、名前は」
「荼毘」
「そりゃ本名じゃないな。まあいいや」
記憶喪失でなければ。氷室は荼毘の本当の名前を知っているはずだ。荼毘からすれば、自分の本名を知る人間が居なくなり好都合だ。
「…おい、焦げ臭い。あんたか？」
「だったら？」
荼毘の体が少しだけ焼けている。皮膚から蒸気のようなものが出ており、一目で荼毘が焼けているんだと分かった。
「屈めよ」
氷室が座ったまま、クイクイと人差し指で荼毘に指図する。氷室の生意気な態度に荼毘は「嫌だ」と断る。
「いいから。冷やしてやる」
無理矢理荼毘の腕を引き、接触箇所から薄い雪の層を荼毘の体に纏わせる。
「まーこんなもんかね」
氷室が荼毘に応急処置をすると、豪邸の外からサイレンの音が聞こえた。警察だ。絶対ヒーローも一緒に居ることだろう。
「サツか…面倒だな。まあこんだけ家燃えてちゃヒーローも来るよな」
氷室は立ち上がって、荼毘に背を向ける。
「着いてこいよ荼毘。あんたが何者か知らねえけど…まだ聞きたい事がある。逃げんぞ」
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χCielχ(プロフ) - やっさんさん» そうです〜！！氷室編で出すかどうか今は迷っております〜ややこしくならないよう心がけます💪 (2021年11月27日 0時) (
レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 瑠李さん» ｱ!!ありがとうございます！！(*´╰╯`)楽しみに待ってくれているのだなと思えるだけでとても力になりますありがとうございます！頑張ります！！ (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - へ！？逆巻さんて、あの、時間巻き戻しの逆巻さんですね(^^♪。活躍場面は、あるのでしょうか(^^)？ (2021年11月26日 22時) (レス) id: a424e1a16c (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - めっちゃ好きです˙˚ʚ₍ ᐢ. ̫ .ᐢ ₎ɞ˚読んでます。更新いつも楽しみに待っています。頑張ってください。応援してます。 (2021年11月26日 18時) (レス) id: 9824e2f221 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - あのさん» ありがとうございます〜！！男主に触れて下さり嬉しいです！コメントとても力になります…！頑張ります！！！ (2021年11月26日 1時) (レス) @page47 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
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