Desire５０ この残酷な世界で咲き誇る ページ50
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ザック・ディザイアと名乗ったその青年。碧と桜色のその人物。どうもその色合いに引っ掛かる。この原因の分からない感情を知りたくて、リヴァイは訓練兵の青年を連れ、どこかへと足を運んで居た。
「リヴァイ兵士長。僕はまだ訓練中です。何処へ」
リヴァイに腕を掴まれて、目的地まで引かれる青年。
「…てめぇ、何の為に調査兵を志願する」
リヴァイは振り向かず質問をする。答えは直ぐに帰って来た。
「一族の生き残りを捜して居るんです。見た事ありませんか、僕みたいな顔」
「いや、無ぇが…似たような物ならもう何度も見た。今はそこに向かってる」
彼の顔を見た事がなければ、ディザイアも聞いた事が無い。
「成程…やはり、彼は既に」
それ以降は黙り込んだ訓練兵の青年。沈黙の中、地面を見詰めながら歩いて居ると、鮮やかな草花が青年の目に入った。
「着いたぞ」
目の前に広がるのは。ザァ、と風に揺られた…大きな桜。700年相当の立派な桜である。
ザックは目を見開き、声を失う。リヴァイがゆっくりとその桜に近付き、木の幹に触れる。
「ザック、と言ったな。どうもこの桜は、お前に似ている」
無表情だった青年が、急に子供の様に表情を歪め始めた。それは切なそうで、されど嬉しそうで。
「……あぁ、此処に居たんですね」
＿＿＿＿ザック・ディザイアの正体。それは、『こちら側』でしか明かす事は出来ないが…彼はディザイアの始祖。つまり、最古の不老族。全ての『欲望』の親。
「僕は…同胞の感情、感覚を共に感じる事が出来ます。彼等が怪我をすれば僕も痛い。悲しいなら僕も悲しい。今回、桜の彼からは、並ならない複雑な感情を感じたので…姿を現し、見に来ました」
自身の胸を押さえ、目を細めてリヴァイと視線を合わせるザック。どこかで見覚えのある顔。思い出せない。
この桜からは、本当に温かい何かを感じる。不意に。無意識に。リヴァイの口からこんな声が漏れた。
「……A」
その言葉に驚いたザック。リヴァイ自身、今自分が何を言ったかはもう、覚えて居ない。もう一度青年を見れば…。
青年の頬に、涙が伝っていた。
「…ずるいよ、リヴァイ」
ザックに誰かが乗り移ったかの様に、彼は泣いていた。
「お前、泣き虫か。ガキ」
少しばかり口元を緩めたリヴァイに、暖かな風が吹き付けた。
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終わり
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桜の花言葉
『高貴』『清純』『私を忘れないで』
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にゃるす。 - 真面目に泣きました…… 感動です！！こんな素晴らしい作品を作ってくださった作者様に感謝です！！ありがとうございます！！(人 •͈ᴗ•͈) (2022年6月9日 22時) (
レス) @page50 id: fbac834549 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ぴりおどさん» 節子…それ涙です…(戯れ)ありがとうございます嬉しいです…！！ (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴりおど - 目から汗が…凄く面白かったです！ (2021年11月20日 21時) (レス) @page50 id: d35dddd041 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 僕さん» ありがとうございます....！！涙していただけてとても嬉しいです…！ (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
僕 - 感動しました。涙が止まらないです！ (2021年3月31日 9時) (レス) id: 9ca767eafd (このIDを非表示/違反報告)
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