Necromance62 穢れた追憶:弐 ページ12
____
__
____天才、天才、天才。
嗚呼、君は天才だ。是非協力してくれないか。いいや私の所で。いいや俺の所で。我々の所で。
判った。判った。判って居る。自分が他の人間と違う事位。だって幼い頃から可笑しかった。何故君はこんな事も判らないの?君は可笑しい。
そうして俺が十二歳になった時に、漸く気付いた。如何してこんな簡単な事に気付け無かったのだろう。
可笑しいのは周りじゃ無くて、自分自身だった。それに気付いた瞬間、場所を構わず随分笑ったよ。独りで大爆笑だ。可笑しくて可笑しくて、堪らなかった。
それからと云うもの、今みたいな俺が出来上がった。僅か
十二歳でだ。いやあ、笑えるね。そうして更に一年後。
それは十四年前。大戦末期頃。十三歳になり、霊が視え、会話出来る様になった俺を、ある男が誘った。
「如何かな。君さえ善ければ」
その男は、後のポートマフィアの首領。森鴎外だった。
「嫌だよ、協力なんて。詰まらないな」
十三歳の癖してこんな態度だったものだから、かなり生意気だったと思う。
「協力?君は可笑しな事を云うね。誤解させて仕舞ったみたいだ。私は君に、私に『利用』されてくれと云って居る」
何時も、『協力してくれ』だの聞き飽きた物ばかりだった。
だがこの男、鴎外は如何だ。少年藤崎のずば抜けた頭に媚びる様な事は一切無く、『利用されろ』と。
利用出来る物はする。出来ないのならば構わない。特に支障は無い。
上がる、少年藤崎の口角。この頃から、今現在の様な表情をするのだ。只の子供では無い事くらい、表情ひとつで判る。
「あはは、おじさん面白いね」
「…私はまだ二十六なのだがね」
「二十六?僕からすれば充分おじさんだよ。嫌だね、歳だけは取りたくない」
「何時か後悔するさ。二十六歳をおじさんと云った事にね」
子供だとは思えない態度。その年齢で全てを見透かす少年。彼は、後に見付ける太宰や中原と同じ…
「僕はタダでは利用されないよ。軍医さん」
「ほう…何故私が軍医だと?」
「僕には視えるからだ。おじさんに沢山の死霊が憑いてる。それも軍服。これは?あぁ、国防軍。教えてくれてありがとう。おじさんはやっぱりお医者さんか。中りだ」
少年は語った。幽霊が教えてくれると。手の内を話して仕舞う所はまだ、子供だなと思う鴎外だった。
_
Necromance63 穢れた追憶:参→←Necromance61 穢れた追憶:壱
何処かの誰かのノート
彼奴を必ず救う。絶対に。
555人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ekakisitemasu(プロフ) - 1番最後の何処かの誰かのノートの彼奴を必ず救う。絶対に。で大号泣しました、、、、 (2022年10月21日 23時) (レス) @page50 id: 583e2155f1 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 天才 (2022年4月29日 13時) (レス) @page50 id: 1cfd8c976c (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ファイさん» ありがとうございます…!笑って泣けるような作品にしたくて書いておりました!こちらこそ埋もれていたであろうこの作品を見つけてくれてありがとうございます、とても嬉しいかぎりです…!!!本当にありがとうございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ファイ - アッ……ヤバイ エッ俺の心臓無事?大丈夫?あ、好き 主様本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います大好きです応援してます大好きです。 最初見たとき大号泣してしまいました。 本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います神! (2021年11月16日 18時) (レス) @page50 id: 1f415ed449 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 白鳥さん» あわわ、ありがとうございます.......!是非に!!!!私も白鳥さんのような方に出会えて嬉しさの極みでございます…ありがとうございます.......!!! (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ