Necromance52 ページ2
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何時にも増して、スルースキルが高いドストエフスキー。
藤崎が彼の目の前、向かいの席に着くと、ドストエフスキーは視線だけちらりと藤崎に向けた。そして直ぐに本に視線を戻す。
視線は本のまま、ドストエフスキーが声を放つ。
「翔君」
「ん?」
にこにこと頬杖を着いて、ドストエフスキーを見詰める藤崎。
ぱたん、と態とらしく音を立てて本を閉じた。
「今何時ですか。云ってみて下さい」
「六時八分」
「ええ、そうですね。何か云う事があるのでは?」
藤崎は笑顔のまま固まって、素早く目を瞬かせた。怒っている…のだろうか。表情、態度からしては全くそういった感情が見えない為、少し考えた。
だがこれは八割怒っている。だから何時にも増してスルースキルが高かったのだ。
「…遅れてごめんね、待ってたの?」
「いいえ全く。待っては居ません。全然。読書に集中してしまっただけなので」
待って居ない事を主張し過ぎて、逆に待って居たみたいな雰囲気になってしまった事に気付いたドストエフスキーは、もう何も云わずに黙り込む。
「ごめんごめん!お詫びに今度お寿司食べに行こうよ。凄いよ!頼んだお寿司を新幹線が運んで来るんだ」
「新幹線?貴方それではしゃいだんですか。子供ですね」
「なにぃ!アラサーが新幹線にはしゃいだら駄目なのかよ!五皿で一回ルーレットがあるからって、無理してもう二皿食べるとか駄目なの!?」
ムッとした藤崎が、泣き真似をしながら実際にあった事を話す。それを見たドストエフスキーは薄く笑う。
「何もそこまでは云って居ませんよ。…はしゃいだ事は否定しないんですね」
「絶対連れてく。新幹線回転寿司。精々日本の素晴らしい回転寿司技術に驚くんだな!露西亜人!」
びしっとドストエフスキーに指を差す。
「それは是非、行ってみたいですね。貴方が生きて居る内に」
「少なくとも今はまだ死にませんしぃ〜!」
「確かに、煙草ではまだ死にません。ですがその異能上、何時
亡くなっても可笑しくないではありませんか」
互いに嘘が通らない関係。藤崎が関わっている相手の中では、最も神経を遣う相手である。
「そうだなあ…ねえねえ、フェージャ君は俺が死んだら如何する?」
「さあ。抑止力が無くなり清々するんじゃないですか」
一呼吸置いて、黒髪の彼は続ける。
「もしくは…」
「もしくは?」
「……ご想像に、お任せします」
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何処かの誰かのノート
彼奴を必ず救う。絶対に。
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ekakisitemasu(プロフ) - 1番最後の何処かの誰かのノートの彼奴を必ず救う。絶対に。で大号泣しました、、、、 (2022年10月21日 23時) (レス) @page50 id: 583e2155f1 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 天才 (2022年4月29日 13時) (レス) @page50 id: 1cfd8c976c (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ファイさん» ありがとうございます…!笑って泣けるような作品にしたくて書いておりました!こちらこそ埋もれていたであろうこの作品を見つけてくれてありがとうございます、とても嬉しいかぎりです…!!!本当にありがとうございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ファイ - アッ……ヤバイ エッ俺の心臓無事?大丈夫?あ、好き 主様本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います大好きです応援してます大好きです。 最初見たとき大号泣してしまいました。 本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います神! (2021年11月16日 18時) (レス) @page50 id: 1f415ed449 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 白鳥さん» あわわ、ありがとうございます.......!是非に!!!!私も白鳥さんのような方に出会えて嬉しさの極みでございます…ありがとうございます.......!!! (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
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