傷だらけの君を、描かせて呉れ。【文豪ストレイドッグス】−不浄編−

Necromance８７ ページ37

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＿＿＿＿暫くして。凍死寸前のアイザックを、国木田が背負って帰って来た。直ぐ様与謝野が異能で治癒をし、凍傷等を完治。然しアイザックは一向に目覚めないまま。


彼と共に氷漬けにされた父親のシンガーは、凍死。当然だ。何時間も絶対零度の氷の内部に居たのだ。それなのに微かに息をしていたアイザック。その理由は…昔、藤崎がアイザックに施した異能実験、もとい人体実験にあった。


＿＿＿＿この様な事が起こると、見越して。






アイザックが目覚めないまま、一週間。何時アイザックが目を覚ましても善い様に…社員は交代で眠るアイザックの傍にいた。


一週間が経った時には、太宰の容体も大分善くなっており、生活に支障は無くなった。けれども身体を動かす様な依頼は、避ける様に云われている。



横浜の救世主＿＿＿＿アイザック。彼は自身の容量を超える
『真紅の氷』の力を使い、横浜を死守。彼はもう目覚めない。絶対に。それが代償であるからだ。



今日は、太宰がアイザックの隣に居た。アイザックの様子をちらちらと見ながら、書物に目を通す。稀にアイザックは、とても苦しそうな表情をし出す。その際には頭を撫でてやると和らぐ。まるで子供だなあと考える。



キィ、と医務室の扉が開くと、桜髪の男がそこからひらひらと手を振っていた。「げえ」と声に出せば、「酷いなあ」なんて返って来て、二人で笑った。



「今日は平気そう？魘されてたりとか…してない？」



藤崎が切なそうに太宰に聞く。太宰は頷いて、「今日はまだ、平気そう」と答える。



「翔って本当に仕事無いのかい？毎日来るよねえ」



「仕事無いは失礼だなあ太宰君。してますしぃ」



口を尖らせ、アイザックの眠る寝台に腰掛けた。今は藤崎も大分落ち着いた様だ。一週間前の藤崎は、意識のないアイザックに対して「ごめんね」を何度も何度も吐いて居た。太宰はそれを、医務室の外から聞いていたのだ。

実際見て居ないから、どんな顔をしていたかは判らないが…掠れた声だった。



しんとした空間で、太宰と藤崎がお互い何も話さずに居ると…金髪の青年から「……う、」と声が聞こえる。苦しそうな青年の顔。藤崎はその原因を知って居る。


手を伸ばし、アイザックの頭に触れてやる。すると太宰の手と被り、二人してアイザックの頭を撫でると云う善く判らない状況に陥った。



「一寸何さ。私が撫でて居たのだけど」


「いやいやいや撫でる位いいでしょ！？俺にも撫でさせてよ！」


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何処かの誰かのノート

彼奴を必ず救う。絶対に。

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