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Necromance85 ページ35

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狭く、暗い路地裏。誰も居ないその場で血を吐き出し、震える掌に視線を落とす。今まで、こんなにも手が震えた事は無かったのだが。



「…はは、そろそろかなぁ」



口角を上げ、手を握り締める。目からも血が流れ、視界が赤く染って行く。まだだ。まだ、やる事がある。俺が一番為すべき事が、まだ。


壁を伝いながら大通りに出ると、街は灰色の煙に侵されていた。この大惨事の根本は、藤崎が原因である。




昔、即死性であるサクリファイスの試作品を作ったのは…他でもない、藤崎本人である。理由は金儲けの為。何食わぬ顔で恐ろしい薬を作り上げ、アイザックの父親に売ったのだ。



「……困った餓鬼だよなあ…俺も」



掠れる声で呟き、目の前の惨状に呆れて肩を落とす。否、
呆れたのは自分自身。何たって藤崎が作り上げ、売ったのは
サクリファイスだけではないのだから。



アイザックの父親。シンガーはアイザックを最高傑作と呼んだ。あたかも自分自身が造りあげたとでも云う様に。然しそんなことは如何だって良い。アイザックを道具の様に扱うシンガーが許せ無かった。



俺はお前が嫌いだ。シンガー。だから消す。須らく消す。塵一つ残らず。お前が存在した事すら否定する。完膚無きまでに叩き潰す。



今だ番犬、噛み付け。見せてやれ。






「____アイザック!!」




振り絞り、誰も居ないがらんどうの街に叫んだ。瞬間、冷気が発生する。それは足元から感じた冷気。段々と全体に行き渡り、ぴかりと街が赤く光った。


赤い閃光。街全体を包み込んだその光は…酷く眩しくて。両腕を目の前に掲げても眩しさから逃れられず、目を閉じる。







暫くして、光が収まったか…?と思い、目を開けてみる。既に眩しさは無く、ゆっくりと掲げた腕を下ろした。



すると如何だ。



目の前に広がるこの光景は。




灰色の煙が、『真紅の氷』によって凍らされ、きらきらと硝子の粒子の様に舞って居た。灰色に蝕まれていた街も、赤い宝石の如く輝く氷の粒子となり、その毒素は無力と化して居た。


これが、藤崎がアイザックの為に植え付けた力。


代償の氷。それに見合った代償を払えば、如何なる物でも凍らす事が出来る。灼熱でも、命でも。



街全体を救う程の真紅の氷。その代償とは。




「……先回りが、妥当か……!」




ここからは時間との戦いだ。耐えられれば耐えられる程可能性が見えて来る。ふらふらとした足取りで、武装探偵社の方へ歩みを進めた。


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何処かの誰かのノート

彼奴を必ず救う。絶対に。


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ekakisitemasu(プロフ) - 1番最後の何処かの誰かのノートの彼奴を必ず救う。絶対に。で大号泣しました、、、、 (2022年10月21日 23時) (レス) @page50 id: 583e2155f1 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 天才 (2022年4月29日 13時) (レス) @page50 id: 1cfd8c976c (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ファイさん» ありがとうございます…!笑って泣けるような作品にしたくて書いておりました!こちらこそ埋もれていたであろうこの作品を見つけてくれてありがとうございます、とても嬉しいかぎりです…!!!本当にありがとうございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ファイ - アッ……ヤバイ エッ俺の心臓無事?大丈夫?あ、好き 主様本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います大好きです応援してます大好きです。 最初見たとき大号泣してしまいました。 本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います神! (2021年11月16日 18時) (レス) @page50 id: 1f415ed449 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 白鳥さん» あわわ、ありがとうございます.......!是非に!!!!私も白鳥さんのような方に出会えて嬉しさの極みでございます…ありがとうございます.......!!! (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:χCielχ | 作者ホームページ:χCielχ  
作成日時:2019年6月1日 17時

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