Necromance15 ページ15
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ドストエフスキーと藤崎の関係は、一見すると善くは無い。藤崎が一方的に絡みに行っている。
銀のライターを着火させ、咥えて居た煙草に火を付ける。
「…煙たいです。翔君」
「だって此処喫煙席じゃん?嫌なら何でテラスに座るの」
「見晴らしが善いので」
灰色の煙をひとつ吐くと…中指と人差し指の間に煙草を挟んで、口から離す。そうして頬杖を着いてにやにやと口角を上げ、ドストエフスキーの目を見る。
「…俺はさ、昔っから週一でこの時間に、この喫茶処に通ってる。最近は洋菓子サービスしてくれる位にね。
ねえ、フェージャ君。君は毎週月曜この時間に此処に来るよね。しかも、態々喫煙席のテラスに座る。ハッ!?ま、真逆…俺に
会いに____」
「自意識過剰も甚だしいですよ」
「はいはい、連れないな」
態とらしくシュンとした顔を浮かべ、再度煙草に口を付ける。
然し…本当に謎だ。何故ドストエフスキーはこの日、この時間に来るのか。態々会おうとしてるとしか考えられない。
まあ何せ、あのドストエフスキーだ。考えてる事を知らない方が善い事もある。だが、藤崎には判って仕舞う。そう云う異能であり、そう云う力を持って居る。
「…同じ銘柄の煙草。同じライター。ずっと変わりませんね。何かこだわりでも?」
「ん?別に無いよ」
へらり。完璧な笑顔を繕う。それが裏目に出る。長い事藤崎を見ていれば判る。
「貴方のそれは、何かある顔です。ぼくには判ります」
ぱたん、と本を閉じると同時に目を閉じたドストエフスキー。
藤崎も判って居る。この男は騙せない。
「この銘柄以外の煙草だと盛大に噎せるって云ったら、笑う?」
「それは笑えますね」
「俺ね、この銘柄以外は本当に吸えないんだ。さあ笑え!!」
「ははは」
ドストエフスキーの無感情な笑い声。俗に云う棒読みだ。真顔で笑われた。でも本当に可笑しいだろう。最近はそれ程でも無いが、昔は一日で一箱使い切る位のヘビースモーカーだった。スクールカウンセラーが、だ。
それがこの銘柄以外は吸えないと云うのだ。廃盤にでもなったら如何するのだろうか。
「吸い過ぎると、老けて早死にしますよ」
『老けて』を強調して云うドストエフスキー。悪意しか篭って居ない。アラサーにとって『老ける』は禁句だ。
「あのなあ!俺は健康に長生きしたいんじゃなくて、楽し〜く
気持ち善〜く生きられれば、それで善いんですよーだ!」
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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