Necromance12 ページ12
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俺には、霊が視える。後悔の念が強い霊程ハッキリと視える。
その霊の過去も視える。それは本当だ。
でも、未来までは視えない。
だから判ら無いんだ。先刻捕まえた霊の少女が、天国行きか地獄行きか…何て。
あぁ、あの女の子、何も悪い事して居ないよ。ごく普通の女子中学生。一緒に記憶を探す?真逆。そんな事出来る訳無い。俺はただの死霊術師だからね。
地獄行きだと脅したのも、優しい言葉を掛けたのも全て、彼女を安易に縛る為の口実さ。
「……云っただろ、俺は縛る事しか出来ないんだ」
俺なら、孤独な君に最高の拠り所を用意してやれる。ねえ、君はこれから、俺が縛って来た霊魂達と共に…賑やかに過ごして呉れ。
ふらり。
桜色の髪が揺れ、床に膝を着いた。完全には倒れまいと、机に体重を掛けて息を切らす。
異能力『殺意の対談』は、確かに有能。藤崎の頭脳と合わされば、様々な事に活用出来る。然し、霊魂を取り込む際や、使用量によっては…大きな反動が自身に返ってくる。
何せ『魂』を幾つも自身に取り込んで居るのだから、藤崎の身体は何時だって限界なのだ。
血管が膨張。頬に血管が浮き出る。内臓が破裂した様に激痛が走った。喉から押し寄せた血の味。誰が吐くか。と歯を食い縛るも、口の端から血が垂れる。
血の味が気持ち悪くて口を開いた。血はゆっくりと口外に流れ出る。
「…ふ、」
それでも笑う。口角を上げ、人差し指で血を拭った。
すると…青い光を放つ霊魂がひとつ。藤崎の周りを、心配そうにふよふよと浮遊する。
先程の少女の霊魂とは違う霊魂だが、藤崎には区別が出来る。
「…大丈夫、何時ものだ。相変わらず心配性だね。君のそう云う所が好きだよ」
見るからに大丈夫そうでは無いが、へらりと笑って霊魂に云う。藤崎は基本、霊や怪我人にはとことん甘く色めいた男だ。
それでも不安そうにする霊魂に触れようとした時。
ぱちん。スイッチの音が鳴り、事務所の明かりが点いた。途端に霊魂は姿を消す。
「おやァ、すっかり悪寒が消えたねェ。居るンだろう、藤崎」
カツカツとヒールの音を鳴らして入って来たのは…与謝野だ。
「アンタの異能は少々反動がデカいからねェ、血でも吐いたかい」
そう云いながら、藤崎の居る机の下に向かう。
こんな姿見られたくないが、生憎身体が動かない。
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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