君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage９３ ページ43

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「だざいとおださくのはなし、聞いてた」



「…なら、話は早いね」



レイと太宰は、背を向け合ったままそう話した。レイの視界には、ミミックの長、ジイドと…太宰の友人、織田作之助の亡き身体。何方も、安らかに眠った様な表情だった。

レイは歯を食いしばり、目を伏せた。



「…私は、人を救う側になるよ。でも…織田作の様に孤児を養う事が出来なければ、レイ君の様に目の前の人間全てを救おうとするなんて…出来ないけれど、」



純白の髪を靡かせ、太宰に振り向くレイ。同時に太宰も、レイに振り返る。太宰の鳶色の瞳と、レイの薔薇色の瞳が真っ直ぐに合う。



「…必ず……必ず成るよ。それが…織田作の言葉だから」



真剣な表情で、何処か切なげな声。



「…おまえがきめたなら、それがいい」




レイがこくこくと頷くと、太宰は儚く笑った。するとレイは何やらごそごそと懐を漁り始めた。そうして出したのは＿＿＿＿、







『杭』だ。



自分の手に持つ杭に、レイは目を落とす。そんなレイの事を、太宰は目をぱちくりとさせて見た。




「なら、救ってやってくれ」



「…な、」



レイが呟いた途端、太宰の身体がぐらりと傾いた。太宰の背は、広間の床に叩き付けられる。太宰が何処にも行かぬ様、レイは太宰の上に跨る。




「だざいは、いったな。『隷属部隊』がそんざいする意味はなんだと」


「君は知らなくて善い」



ふるふると首を振る純白の『少年』。



「その意味は、『隷属部隊』が、俺のほんとうの枷だからだ。
エリオットも、きっとそうだった。俺がいるから、『隷属部隊』がいる。『隷属部隊』があるから、俺がいる。おまえがいう『均衡』は、それだろう」



レイは腕を伸ばし、杭の先端を…自身の心臓に向けた。レイの言葉と行動に、太宰の目は大きく見開く。



「待て、何を……考えてるんだい」



織田の死後、直ぐに『少年』が居なくなるなど。




「おまえに会って、たのしかった。いつも地下牢に来てくれた。おいしいもの、見たことないもの、たくさん見た。ありがとう、だざい。」



小さく太宰が「止せ」と呟くも、レイの決意は変わらない。



「安心しろ、おまえは俺を救う。変わるおまえに、一番最初に救われる奴になれるなんて、こんなにしあわせなことはない」



レイの『目的』を達成するには、太宰の力が必要だ。



「…ごめんな、だざい」



これが俺の意味だ。






太宰の頬に落ちたのは、少年の生温い涙だった。


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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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