君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage７３ ページ23

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鎖に繋がれた状態。何時もの様には動け無いが、地面を蹴って相手と距離を詰めた。渾身の蹴りは…、


「弱い蹴り」


衝撃波の異能者の男は、腕でそれを防御していた。レイは鎖に繋がれた状態では力を発揮出来ない。その辺の男子高校生同様となる。


防がれたが…レイの表情は強気。飛び上がって、即座に腕の鎖を相手の首に巻き付け、背に回って締め付ける。



「……おまえ、あめりかのそしきか？」



男の背後で脅す様に云った。普段、人を脅す様な事はしないレイだが、原因は判る。異能者の男は中々答えない。鎖で首を更に締め付けた。男は「けほ、」と少し苦しそうに咳き込む。



「そうか、アンタがエリオットの兄貴か」



『エリオット』。その名を聞いたレイの力が緩んだ。男はその好機を逃さず、レイを蹴り飛ばして拘束から抜ける。短い距離を飛ばされたレイは受け身を取って立て直す。



「確かに似てる。だが云う程強くないな。拍子抜けだ」



何を云われようと気にしない。『エリオット』と云う名が、レイの脳を駆け巡る。エリオットはレイの実妹。



「……エルをしってるのか」



「あぁ知ってる。嫌と云う程に。でも教えない。そうだな…アンタが俺に勝ったら教えてやる」



と、男は余裕そうに云う。



男は知らないのだ。『怪物』を。『恐怖』を。人類が辿り着けない、死を超えた領域を。


すると何処からか都合善く、「見せてやれ」とでも云う様に…声が聞こえる。レイが付けて居る通信機からだ。これは発信機の代わりでもある。




『＿＿＿＿レイ・ブラッドベリの拘束解除申請を確認。承諾。
解放します』



空気を切り裂く金属音と共に、鎖は火花を散らして断ち切れた。その直後、今迄無かった薔薇色の瘴気が、レイの足元から 嵐の様に発生する。天地を揺るがす化け物の瘴気。


地上から空へ向かって無限に放たれる瘴気に、レイの白い髪や円套が激しく揺れる。





「なら…思うぞんぶん、全力であいてをしてやる」



男は目を見開いた。一瞬でレイに対する意識が反転した。辺りの空気を巻き込んで膨張し、爆音を鳴らして爆破する薔薇色の瘴気。まるで生き物の様で。



レイが一歩踏み出した地面からは、混凝土が抉れて大地が姿を現した。




それでも男は構えた。…引き下がれないからだ。何があっても。




「おまえのその姿勢は、きらいじゃない」





敵でありながら、怯えず立ち向かう男をレイは褒めた。




『人類』と『怪物』。勝負は明白。



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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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