君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage６９ ページ19

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木々に落ちた雷光。須(すべから)く塵と成り燃えた。
閃光に少々目を眩ませた芥川。地面に片手を着いて居た芥川の
目の前に、ばさばさと音を立てて靡く黒い円套(マント)。


炎に照らされる純白の髪。振り向く凛とした横顔。薔薇色に咲き誇る瞳。ぎらりと光った鋭い犬歯。



「…よく耐えたな、下がっていろ」



恐れを知らないその瞳。己が『強者』だと自覚して居る者の
立ち住まい。



「…レイ」



自分の名をきちんと呼んでくれた芥川に対し、無表情だが嬉しそうにした。芥川から視線を外し、少女に視線を移す。灰色のフードを被って居て判らない。然し嗅いだ事のある匂いだ。…何処でだったか。何世紀と生きて居ると忘れてしまう。



「おまえは？」



考えるより聞いた方が早い。レイが少女に問い掛ける。少女は暫く固まって居た。レイの後ろの芥川が云う。



「…奴は、異能を使えない空間を作る。今この空間がそうだ。どれ程の範囲の空間かは知れぬ」



「いのうのないくうかん？」



レイは異能を使え無ければ無力。それはポートマフィア全員が認識して居る事だ。怪力を扱うが、レイは至って細身だ。


ならばこの空間で息絶えればそのまま絶命すると云う訳か。



だが…あろう事か少女は、踵を返して逃走した。まるでレイを
確認しに来ただけの様に。



レイは追わなかった。近くに太宰と中原の匂いがするからだ。太宰に何か考えがある。レイが追えば余計な事をする事になる。



少女の姿が見えなくなり、レイは屈んで、芥川の肩を掴んだ。



「生きてるのは…あくたがわだけか。おまえ、けがしてる。わるかった、俺がもっとはやければ」



と、芥川を担ぎ上げる。ぎょっとした芥川は降ろせと抵抗するも、レイの馬鹿力に為す術無し。





＿＿＿＿
＿＿






路地の曲がり角。少女の逃走経路を予測し、待ち伏せて居た太宰と中原。



「中也」



「チッ…、判ってる」




駆ける少女が曲がり角から出て来た。途端に中原の蹴りが炸裂。不意の事で少女は中原の蹴りを避けられずに腕で防御したが飛ばされ、路地を転がった。



その衝撃で少女のフードが外れたものの、軽い身の熟しで少女は素早く立ち上がる。反対側に逃げようとした際に…太宰と中原を強く睨み付けた。





















少女の顔を確認出来た太宰は、独りでに口角を釣り上げたのだった。


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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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