君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage６３ ページ13

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「だから！駄目だってば！これは度が強いから！」


「今日はこれが飲みたい気分なのだよ！」



と、ウイスキーのボトルを取り合う北森と太宰。見た事のある光景だな。と織田は頷く。隣でぎゃいぎゃいと長く騒ぐ二人を、痺れを切らした安吾が止めに入る。



織田とレイは、平和だな。へいわだ。と頷く。





「…レイ。少し聞きたい事がある」




「なんだ？」



レイはすっかり織田に懐いて仕舞った様で、織田の隣の席を離れずに居た。騒ぐ二人と、それを止める安吾を横目に見てから、レイに視線を移した。




「…普段世話になって居る三人に、贈り物をしたいと思って居るんだが…これと云って思い付かない」



そして織田は、「実用品…装飾品…？」とつらつらと並べて行くが、迷いの表情。何を送ったら善いか全く判らない。


意外にも、レイは答えた。





「…おくる本人に、どうなって欲しいかをかんがえたらいける」




レイの言葉に、織田は目を輝かせた。




「成程。

例えば…鴻は、陸上競技の走り高跳びをして居るらしい。俺は
鴻に頑張って欲しい」



織田が聞いた事もない単語を放つため、レイは首を傾げて頭一杯に疑問符を浮かべた。



「りくじょうきょうぎ？よくわからない。でも頑張って欲しいならおまもりだな。昔…妹が、なんかこう、細かく編んでくれたおまもりをくれた事があった」



レイが云って居るのは、きめ細かく編まれるミサンガの事だった。然しレイの口から「ミサンガ」と云う言葉が出てくる訳も無く、うーんと悩んだままだった。



「調べてみよう。助かった。…そうだ。お前にはこれをやる」



と、カウンター上で杯を滑らせて、レイの前に酒を置いた。酒の味を知ったレイは、「いらない」と首を横にぶんぶん振る。激しく拒否するレイに僅かに口元を綻ばせた。



「酒は美味いぞ。初めてなのに度数の濃い酒を飲んだからああなった。これは俺の好きなカクテルだ」



織田の好きなカクテルなら信じられる。レイは杯を手に取り、
杯に浮かぶ氷に映る自分を、じっと眺めた。



意を決して一口。すると如何だろう。先程と酒とは全く違う、
仄かに香るオレンジの香り。これは先程太宰にも勧めたカクテル。北森が織田に初めて作ったカクテル。


甘口でさっぱりとした味わいが特徴の、オレンジとアプリコットブランデーを混ぜたバレンシアだ。





「……これは、うまい」



「だろう」




織田のお蔭もあり、レイは変に酒を嫌わずに済んだ。


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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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