君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

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「で、この報道の原因が彼」


と…太宰がほんの少しだけ自慢げにレイを指差す物だから、バーテンダーの少年、北森は妬いた様にじとりとレイを睨んだ。


北森にとって、このバーの常連である太宰、織田、安吾の三人はとても大切な人間なのだ。



当のレイは織田の隣で、杯に入った氷をカランコロン転がして遊んで居た。


「おださく、いまのはラのフラットがまざったおとだ。あとはありすぎて覚えてない」


「凄いなレイ。音が判るのか。フラットって何だ？」


「はんぶん下がるおとのことだ」



織田とレイは似た者同士、既に仲が良さげ。太宰の真似をして、「おださく」と呼んで居る事にも何処か嫉妬心を覚えた北森少年。



「では、レイ君は一体どんな異能を？」



安吾はレイの異能の詳細を聞いた。北森にとってはそれ所では無い。安吾が「レイ君」。大方セカンドネームが長いから名呼びなのだろう。いや狡い。安吾くんに名呼びされるのはとても狡い。と、北森少年。


北森は、異常なまでに三人を気にかける。執着と似ている。少年はこう云った体質なのだ。



「俺のいのうは、」



レイが答えようとした途端、ダン！とレイの目の前に杯が置かれた。見上げると、嫉妬に塗れて冷ややかな薄笑いを浮かべる北森。



なんでこんなにおこってるんだ。レイは思った。




「どうぞ、レイさん。サービスです」



北森はレイに、酒を注いでやったのだ。飛びっきりの、うんと度数の濃い酒を。



「…さけは、はじめてのむ」



「美味しいですよーどうぞー」



北森が棒読みで他人事の様に云うと、レイは目を輝かせた。美味しい物なら何でも好きだ。



「うまいのか…！」



レイが杯を手に取り、口へと運ぶ。ふと太宰が気付く。



「何か、そのお酒凄く色濃くない？それ絶対割ってな…」



くい、と一口。つん、と感じた事の無い…味覚を刺激する味がした。咄嗟にレイは口を押さえて無言で悶絶した。



「んん、ん…？んぐ、だはっ」



懸命に飲み込み、必死に息を吸う。太宰も危機感迫って悶絶するレイを見るのは初めてだ。



「うふふ。やるじゃない北森君ふふふ」



これは誰が見ても笑う。酒のなんとも云えない味に口を押さえて、脚をばたつかせる吸血鬼の始祖など。



「…っふは、」



少年が笑った。仮面を貼ったような笑いしかしなかった少年が、年相応の笑顔を浮かべたのだ。




…こんな笑い方が、出来る様になったのか。



嬉しくて嬉しくて、堪らなかった。


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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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