君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage７５ ページ25

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「なかはらはどうしたんだ」


自我を無くし上空で暴れ回る中原を見て、レイは太宰に聞いた。気配で判る。あれには勝てない。けれども、血の匂いがする。中原が危ない。



「あれが中也の本当の異能さ。君も満たんな状態で、霧に成り続ければ勝ち目はある。けど常時枯渇してる君じゃあ、勝てる相手ではないね」


「それはわかる。なかはらの様子がおかしいぞ」



無知なレイに、「それはわかる」と流され少々バツの悪い太宰。太宰は腕を組んで、上空の中原を眺めた。



「中也は死ぬよ、あれは命尽きるまで暴れ続ける。私の手が届かない。…或いは、街が重力に潰されるのが先かもね」



太宰の口から出た、中原が死ぬと云う情報。それだけは駄目だ。レイは頭を抱えて、うーんと考え出す。



「なかはらは、俺にりんごをくれた。仲間にもくれた。やさしいやつだ。ぜったいにしなせない。俺がなんとかする」


「根拠は？」


「ん」



と、レイは真顔で木を指差した。太宰は「はぁ」と溜め息を吐いて、呆れた様な表情でレイを横目で見る。レイは単純だ。大体の予想は付く。



「あのねぇレイ君。木に登っても届かないから！それに、君に抱えられて飛ぶのも無理。無効化してしまうからね」



レイは太宰に聞く耳も持たず、「よっこいせ」と小声で呟いては、まだ生えてる木を丸ごと引っこ抜いた。何がよっこいせだ。太宰は思った。



「…『考える力』だ。だざい」



嫌な予感がした。レイが『考える力』と云うと、善い事は起こらない。何時もそうだ。



「これにつかまれ」


「無理」


「すなおにつかまったら、ぶらっどさんのたっぷりなでなでコースだ」


「要らないのだけど！！」



とは云え、中原の汚濁を解除する方法はこれしか無い。レイにしては名案。太宰がこの木に掴まり、レイが飛ぶ。太宰は肩を竦めて、安定する位置に掴まった。



「じゃあ、いくぞ」



ぐ、と枝に掴まる太宰。するとレイが、大きく振りかぶった。待て。予測と違う。それは愚策だ。木を投げるとは聞いてない。



「ま、待ってレイ君？それは駄目、君が飛べば善＿＿＿＿」



太宰が掴まる木は、レイの怪力によって空高く投げ出された。太宰の言葉は途切れた物の、後々レイも一緒に飛べば善かったと後悔する。


然し『怪力』と『飛行』。力を同時に使うのは、血をかなり消費する。故に…故に善いのだこれで。と、レイは自身にそう暗示を掛けて一人で頷いた。



軌道、高さも善し。完璧な投擲。


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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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