君の世界に、意味を与えよう。【文豪ストレイドッグス】

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この頃になると、既にポートマフィアの利益は莫大な物で、その半分は太宰による物だった。



早朝。ポートマフィアの縄張りである倉庫街付近で、山の様な死体の量が発見された。これは昨夜、ポートマフィアとある敵組織が銃撃戦を繰り広げた跡だった。




「却説…そろそろ見付かったかい？」



死体を調べる黒服の部下達。太宰が待ち草臥(くたび)れた様に云うと、身を強ばらせて敬意を表した。




「申し訳ありません太宰幹部！直ぐに…！」




部下達が小型の麻薬探知機を手に、死体を一体一体調べて居た。理由は、マフィアを裏切った者が無断で麻薬を密売して居たと云う情報が流れて居たからだ。



マフィアを裏切った人間は既に命を落とし、この死体の山の中に紛れて居る。マフィアは裏切った人間を特定し、その家族、係わった人間を滅す心算だ。





「もう善いよ」




太宰が冷たく部下達に云い放つ。太宰はそれに続けて、声色を
低くし、凍り付く様な目付きで部下達を見る。



「これで判っただろう。君達には何も出来なくて、死体を一体一体しか調べられないその探知機はポンコツだって」




踵を返すと、肩に掛けて居る黒い外套がふわりと靡いた。外套を靡かせたまま、太宰は話す。




「だから、彼を呼んだのだよ。犬の何倍も鼻が利く彼をね」




太宰が歩みを進める先には、純白の髪で薔薇色の瞳をした少年…レイの姿があった。レイは地面に座り込み、下を向いて何やら必死に手を動かして居た。





「如何だい？レイ君。少しは慣れた？」




太宰が上から、レイが手に持つ物を覗き込む。レイが持って居た物は、何とゲーム機器。



その画面には、順位を争うカーゲームの様な物が映って居た。





「げえ、最下位じゃないか！何してるの？」




「ちがう、『考える力』とやらだ。俺はここにバナナのかわを
しかけてる。これに滑ったところを、このばくだんで仕留める」




レイが操作するカーゲームの画面を善く見ると、バナナの皮が
沢山 地面に仕掛けられて居た。そしてレイの車体は茂みに隠れ、他のプレイヤーがバナナの皮に引っ掛かるのを待って居た。




「つまり、いまの俺はつよい」



「意味が判ら無いのだけど？これそう云う遊戯じゃ無いのだけど？」




如何やらレイは、このカーゲームを蹴落とし合いのゲームか何かかと錯覚した様だ。



画面の中がバナナのオンパレードで、状況を知らない他プレイヤーは「何があった」と突っ込む事だろう。

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ポートマフィア『隷属部隊』 隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：身長173cm。体重57kg。非常に強力な異能を有すが、人間の血を必要とする。大人しい印象だが、敵味方関係無く殲滅してしまう事がある。命令違反も多々ある為、扱いは困難。

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