salvage46 luxury liner ページ46
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「やるじゃない、レイ君」
「なにがだ」
丸い机を挟んで、太宰とレイは話していた。レイの目の前には小さな洋菓子が沢山。俗に云うスイーツパラダイスとやらで、レイは大量に洋菓子を取って来ていた。
それをもりもりと食べながら、頬袋に洋菓子を詰め込んで居るのだ。
別に無くなる訳でも無いのに、急いで食べ尽くしてはまた皿一杯に洋菓子を持って来る。ハムスターか。周りからすればそう突っ込みたくなるが、太宰は止めない。そして続ける。
「演奏だよ」
「そうか?」
レイがそう云うのは無理も無い。『ブラッドベリ』である以上、周りが天才だらけだったのだから。レイは稽古を嫌って逃げて居た方だ。
「それにしても…君に執事は務まらないだろう。抜けてるし、莫迦だし、莫迦だし」
「ばかっていう方がばかなんだぞ」
「じゃあ君はもっと莫迦」
レイは「ならだざいはもっともっとばかだな」と悪気無く云った。これに呑まれれば負けだ。レイの真顔に少々腹を立てたが、太宰は笑顔を崩さ無かった。
「…おしえてたことは、舞踏とばいおりん。テーブルマナーと、
おいしい紅茶のつぎかた。べんきょうは違うやつがおしえてた」
テーブルマナーを教えて居たとは云うが、教えて居た本人が洋菓子を口一杯に詰め込んで大丈夫なのか。
レイがフォークを次の洋菓子に刺そうとした時、太宰はひょいっとレイの目の前の皿を引いた。レイの持つフォークは、そのままカッと音を立てて机に当たった。
何処か恨めしそうだが、真顔で太宰をじっと見詰めるレイ。
「なんでとった」
「問題。正解したら返してあげる」
太宰は頬杖を着いて、薄い笑顔のままレイに問う。
「百引く百は?」
「さんけたの引き算はきらいだ」
即答だった。これは拙い。頭が小学校低学年レベル。謎に三桁の計算を嫌う脳内レベル。これが執事だったら絶対に雇わない。
「…ここに百個の林檎があります。全部レイ君の林檎です」
「りんご」
太宰は溜息を吐いて、問題の出し方を変える。単純で食い意地を張るレイは、勿論食い付く。
「そこに偶然通り掛かった私が、百個全部食べて仕舞いました。レイ君が食べれる林檎は何個?」
「俺のりんごが全部なくなった」
空想の話なのに、酷くショックを受けた様な声を発した。一応正解したので、そっと皿をレイに返す。
「正解、そう云う事だ。判らない事があれば何かに変換してみるといい。『考える力』だよ」
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ポートマフィア『隷属部隊』 隷属者No.01
レイ・ブラッドベリ:身長173cm。体重57kg。非常に強力な異能を有すが、人間の血を必要とする。大人しい印象だが、敵味方関係無く殲滅してしまう事がある。命令違反も多々ある為、扱いは困難。
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χCielχ(プロフ) - 綺弌さん» うわーーーありがとう!それにも続編が笑笑((ぉぉぉぉ楽しみにしてますっっ!! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 姫歌さん» やっと続編できましたありがとうございます…エエッいいんですか!? (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
綺弌(プロフ) - 50話到達おめでとう〜(*’ω’ノノ゙☆パチパチ 毎日読むのが楽しみで仕方無かった!! 擬音復唱シリーズ続編の方でも楽しみにしてるね!!← 私の方もあともう少しで公開の準備が整うよ!! (2019年3月24日 17時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 続編のお祝い小説書いていいですか(真顔) (2019年3月24日 16時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 詩歌さん» ひええええうれしいです!ふぉっ、お、乙彦さんですか超うれしいです!!彼が一番格好いい人だと私も思ってます( ˇωˇ ) (2019年3月24日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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