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存在感のある後ろ姿。然し暫くすると、太宰の目の前の『少年』の足がふるふると震え出した。
少年は痛そうに片足を浮かせて、足をぶんぶんと振った。高い所から落ちて、足がジーンと痺れる現象に陥ったらしい。
「えぇ…」
折角善い登場だとは思ったのに、少年の足が痺れた所為で、全て台無しになった。これには太宰も拍子抜け。
すると何処からか聞こえた発砲音。銃声が響いた瞬間、少年はフッと霧の様に成って姿を消したのだ。
次に少年が姿を現したのは、敵組織集団の背後。男達の顔面に炸裂する少年の素早い回転蹴り。軽く百人は越える武装した屈曲な男達を、悉く殲滅して行く。
少年の戦術は戦えば戦う程変わって行った。初めは人間らしく戦って居たのに対し、今は獣の様に敵の首筋に深く噛み付いては引き千切る。
穢れの無い純白の髪。薔薇色の瞳をした少年。
それはまるで、誰一人として踏み入った事の無い真っ白な砂漠。純白の砂漠の中で、枯れる事無く根強く咲き誇る薔薇の様だった。
綺麗だと感じた。この退屈で如何仕様も無い世界に、
これ程迄に綺麗な物が存在するとは。『アレ』はこの世界の物では無い。きっとこの世に囚われた別世界の物だろう。そうでなければ、あの完美を証明する事が出来ない。
「…プッ、」
少年が、噛み付いて引き千切った時の血肉を吐き出した。敵は既に壊滅状態。
少年は口周りに付いた血を手の甲で拭いながら、太宰に近付いた。太宰の目の前で立ち止まった後、屈んで太宰の縄を解く。
至近距離の『少年』の顔。
____嗚呼。これを、早く如何にかしなくては。
早く、早く。この感覚を…何かに例える事が出来るとすれば何だろう?そうだ。これは…これは死だ。
こんなに、こんなに近くに追い求める物がある。『これ』ならば、確実に自分を殺せる。絶対に。
自分が死を、この世からの解放を求めるのと同じ様な感覚。君ならば、君ならば殺せるだろう。この世の物では無いのだから出来るだろう?
さあ…ほら、早くしてよ。
「おまえがだざいか」
『少年』の声に、太宰は目を覚ました様にハッとして少年の薔薇色の瞳と目を合わせた。
真っ直ぐに太宰を見詰めるその瞳。太宰は思わず目を逸らした。
「ちがうのか?」
疑問符を浮かべた様な顔をする純白の髪の少年。
「太宰だよ」
「だざい?」
「太宰」
「だざい」
少年はうんうんと頷いた。
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ポートマフィア『隷属部隊』 隷属者No.01
レイ・ブラッドベリ:身長173cm。体重57kg。非常に強力な異能を有すが、人間の血を必要とする。大人しい印象だが、敵味方関係無く殲滅してしまう事がある。命令違反も多々ある為、扱いは困難。
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χCielχ(プロフ) - 綺弌さん» うわーーーありがとう!それにも続編が笑笑((ぉぉぉぉ楽しみにしてますっっ!! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 姫歌さん» やっと続編できましたありがとうございます…エエッいいんですか!? (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
綺弌(プロフ) - 50話到達おめでとう〜(*’ω’ノノ゙☆パチパチ 毎日読むのが楽しみで仕方無かった!! 擬音復唱シリーズ続編の方でも楽しみにしてるね!!← 私の方もあともう少しで公開の準備が整うよ!! (2019年3月24日 17時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 続編のお祝い小説書いていいですか(真顔) (2019年3月24日 16時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 詩歌さん» ひええええうれしいです!ふぉっ、お、乙彦さんですか超うれしいです!!彼が一番格好いい人だと私も思ってます( ˇωˇ ) (2019年3月24日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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