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レイの『躾』の記憶が鮮明な内に、やるべき事。少し時間を置いて、日が暮れた時。太宰は自ら地下牢に顔を出す。部下の女性を一人、引き連れて。
彼女は贄だ。レイが問題無く七日間を終える為の。だが、七日の間に過度に力を使ってしまう場合もある。その時は自分の血を提供する心算だ。
隷属者を幽閉する牢の前に来る。純白の髪の少年は小さく蹲り、立てた膝に顔を埋めて居た。かなり堪えたのだろう。太宰だけが見た…レイのあの表情を見れば判る。
「レイ君」
太宰の声。少し柔らかみのある声だった。ジャラ、と重い音を立て、レイは顔を上げた。太宰の方を見るレイの顔は、何時もの無表情。
「あすかは?」
一番に口にしたのは、少女の安否が如何かだ。鴎外の事だ。鴎外の許容範囲内であるあの可愛らしい少女は…丁寧に、それでいて綺麗に手当てされる事だろう。太宰はそれも兼ねて『躾』の餌を少女にしたのだ。
「大丈夫。無事さ」
「…なら、いい」
そうしてまた膝に顔を埋める。
「…あの、太宰幹部…私に会わせたい人物と云うのは…」
「彼だよ」
太宰は部下の女性に「会わせたい人が居る」と漏洩のミスを無かった事の様に薄笑いで装い、女性を此処に連れて来たのだ。
「開けて」
看守に一言云う。レイと触れ合うのは危険だ。そう思いながらも、冷酷さを放つ幹部の云う事に逆らう事が出来ず、レイの牢を開ける。ギィ、と鉄格子の扉が開く。
トンと太宰が女性を押して中へ入れる。太宰も共に中に入ると、鉄格子の扉を閉め切った。レイが逃げ出さない様にでは無く、万が一に備えて女性が逃げない様にだ。
自分の牢に誰かが入る事等、太宰より前の『所有者』以来だ。不思議に思ったレイが顔を上げた。
「…無かった事になる訳が無いだろう。敵組織への情報漏洩。
それは絶大な損害だ。裏切り者並みのミスだよ。そんな君を生かして置く程ヤワな世界じゃあない。使えない部下は切り捨てる。当然だろう?ねえ?」
ひ弱だが、太宰も男だ。何も訓練されて居ない女性一人を押さえ付ける事など容易。女性の顔は血の気が引いた様に青ざめる。
「も…申し訳ありません…!!私が無能なばかりに、この様な事は二度と無いように…!」
「そうだね、君は無能だ。だから切り捨てる。二度と無いのは当然だ。君は『贄』だからね」
ばっ、とレイが立ち上がり、ゆらゆらと後退る。喉はカラカラだ。この状態では…血を飲み干し兼ねない。
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ポートマフィア『隷属部隊』 隷属者No.01
レイ・ブラッドベリ:身長173cm。体重57kg。非常に強力な異能を有すが、人間の血を必要とする。大人しい印象だが、敵味方関係無く殲滅してしまう事がある。命令違反も多々ある為、扱いは困難。
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χCielχ(プロフ) - 綺弌さん» うわーーーありがとう!それにも続編が笑笑((ぉぉぉぉ楽しみにしてますっっ!! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 姫歌さん» やっと続編できましたありがとうございます…エエッいいんですか!? (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
綺弌(プロフ) - 50話到達おめでとう〜(*’ω’ノノ゙☆パチパチ 毎日読むのが楽しみで仕方無かった!! 擬音復唱シリーズ続編の方でも楽しみにしてるね!!← 私の方もあともう少しで公開の準備が整うよ!! (2019年3月24日 17時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 続編のお祝い小説書いていいですか(真顔) (2019年3月24日 16時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 詩歌さん» ひええええうれしいです!ふぉっ、お、乙彦さんですか超うれしいです!!彼が一番格好いい人だと私も思ってます( ˇωˇ ) (2019年3月24日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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