君の世界に、意味を与えよう。【文豪ストレイドッグス】

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レイが少しでも反抗的な態度を見せれば…首の鎖を引き、少女を傷付けた。



太宰が行ったのは、『パブロフの犬の実験』に類似したものだ。生物学では八割が学ぶこの実験。簡単に説明すると、



犬が餌を食す時は、唾液の分泌量が多くなるだろう。この実験では、犬が餌を食す時に必ずベルを鳴らす。これを繰り返すと、ベルを鳴らしただけで犬は唾液を流す様になるのだ。



レイの場合、『してはいけない事』をした時に首の鎖を引く。そして少女を傷付ける。それを繰り返す事で、今後首の鎖を引っ張られた時、『いけない事をした』『辞めなければいけない』と認識出来る様になる。


流石の太宰。頭の悪いレイに、『してはいけない事』を短時間で叩き込むにはかなり適した策だ。





耐えられないレイ。耳を塞いで床に視線を落とす。微かに獣が唸る声がレイから聞こえる。



太宰はレイに近付く。全ての生命を絶対零度の闇に陥れる様な笑みで、屈んでレイの様子を伺う。




「気分は如何だい吸血鬼(ヴァンパイア)。私はとても善い」




震えて、唸る『少年』。中々顔を上げない。仕方無く純白の髪を掴んで、乱暴に此方を向かせる。レイの顔が見え、太宰の表情は一転。太宰の目がぱちくりと瞬いた。



てっきり、睨み付けでもされるかと思っていたが。







「…へえ。君は…そんな顔もするのだね」




そんなレイの表情を、周りからは見えない様に…自分だけが見える様に、太宰は両手でレイの頬を覆う。



この時のレイの表情は…太宰以外、誰一人も知らない。



まだ続ける心算で居た。然し、レイの表情を見て満足したのか…はたまた『躾』は充分だと判断したのか…黒服に目を向けて指示を出す。




「女の子は直ぐに首領の所へ。レイ君は地下牢。宜しくね」




太宰の指示に「はっ」と返事をし、指示通り動く。黒服の一人がレイを連れて行く時、首の鎖を引いて連れて行こうと首元に手を伸ばすと、






「その子の鎖に触れるな」




強く、威厳を込めて云い放つ。黒服は気を引き締めて再度返事をし、レイの腕を取って地下牢へと消えた。




ぽつり、と懲罰部屋に一人残された太宰。レイの『躾』が終わり、深く溜め息を吐いた。レイが地下牢に連れて行かれる時…レイは太宰に、一度も振り返る様子を見せなかった。







彼と普段通り接する事は、叶わないだろう。






あともう一つ、彼にしなければならない事が残っている。それは今回の『躾』よりも断然酷く惨い。

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ポートマフィア『隷属部隊』 隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：身長173cm。体重57kg。非常に強力な異能を有すが、人間の血を必要とする。大人しい印象だが、敵味方関係無く殲滅してしまう事がある。命令違反も多々ある為、扱いは困難。

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