salvage22 ページ22
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「いちじくはどんなあじだ?」
「貴様、無花果も知らぬのか」
レイは無花果と云う果物を食べた事も無ければ聞いた事も無い。好きな食べ物はと聞いて、芥川は特には無いと返したが…それでも執拗く聞いて来るので無花果と答えた。
「いちじくはしらぬ」
「真似をするな」
「やつがれはいちじくはしらぬ」
「愚者め八つ裂きにされたいか」
芥川の背後から先程の黒獣が姿を現す。解放状態のレイは霧になれる為、攻撃をしても意味はないのだが…真似をするレイに圧力を掛けるには効果的。レイは首を横にぶんぶんと振った。
「悪かった。もうまねしない」
芥川は、まんまとレイのペースに呑まれているのだ。
「貴様。僕に何を訓えると」
「俺はレイだ」
『貴様』と呼んで居た芥川に、レイは自分の名を口にし、芥川にレイと呼べと促した。真っ直ぐなレイの視線。その目線から逃れられなかった。唯一逃れる方法があるとすれば、
「……レイ」
芥川がそう呼ぶと、貫く様なレイの真っ直ぐな視線が解かれた。レイは一人でうんうんと頷く。そうしてレイは芥川の頭に手を乗せ、狂犬でさえ優しく撫でたのだ。
暫くぽかんとしていた芥川。何をされて居るか気づき、慌てた様にぱしんとレイの手を払った。
「止せ」
「えらいから、ほめただけだぞ」
「それを止せと云って居る。馴れぬ」
撫でられた事など無かったのだろう。ただ、自分の事を「レイ」と呼んでくれた芥川を甘やかしたくて堪らないレイ。何か無いだろうかと、思い付いた結果がこれだ。
「こい、あくたがわ」
ばっ、と…腕を広げたのだ。抱き付いて来いと云わんばかりに。
それには芥川も少々引き気味。
「…下らん。戯れ等」
「なら…俺からいこう」
腕を広げたまま、じりじりと芥川に寄るレイ。芥川は口元を押さえて後退る。下手に動けば飛び付かれる。
「来るな…寄るな…!それ以上寄れば首を落とす」
レイは畏れる事無く芥川に近寄る。
レイの指導は始まったばかりだ。結果的に云ってしまえば、レイが芥川に教えたいのは『攻める力』では無く『守る力』だ。太宰が芥川の力は防御にも使えると見抜いた様に、レイも…見抜くと云うより勘ではあるが。
____この部屋の外。
扉の付近。太宰は壁に寄り掛かって、レイと芥川のやり取りを聞いて居た。
「任せて正解だったね」
何時もとは反転した様な教育は、芥川の刺激になるだろう。
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ポートマフィア『隷属部隊』 隷属者No.01
レイ・ブラッドベリ:身長173cm。体重57kg。非常に強力な異能を有すが、人間の血を必要とする。大人しい印象だが、敵味方関係無く殲滅してしまう事がある。命令違反も多々ある為、扱いは困難。
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χCielχ(プロフ) - 綺弌さん» うわーーーありがとう!それにも続編が笑笑((ぉぉぉぉ楽しみにしてますっっ!! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 姫歌さん» やっと続編できましたありがとうございます…エエッいいんですか!? (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
綺弌(プロフ) - 50話到達おめでとう〜(*’ω’ノノ゙☆パチパチ 毎日読むのが楽しみで仕方無かった!! 擬音復唱シリーズ続編の方でも楽しみにしてるね!!← 私の方もあともう少しで公開の準備が整うよ!! (2019年3月24日 17時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 続編のお祝い小説書いていいですか(真顔) (2019年3月24日 16時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 詩歌さん» ひええええうれしいです!ふぉっ、お、乙彦さんですか超うれしいです!!彼が一番格好いい人だと私も思ってます( ˇωˇ ) (2019年3月24日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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