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「おじさん達、早く僕を死なせてよ」
詰まらなそうに云い放ったのは、当時十五歳の太宰だった。太宰はその細い身体を縄で縛られ、柱に括り付けられて居た。
「エサの役目が終わりゃあ直ぐに殺してやるよ」
敵組織の男の一人が、脅す様に拳銃を太宰の額に突き付けた。
太宰は畏れる様子も無く、ただ無邪気に笑う。
「やだ、僕は今が善いんだ。早くしてくれないと本当に死ねないじゃ無いか!」
何か面白い事があると思って攫われた物の、退屈凌ぎになる事なんて一つも無い。死ねると思えばこの通り一向に死なせてくれない。
それは判って居た事だった。
ならば何故攫われたのだろうか。
興味本位だ。先代の頃はあれ程濫用して居た『隷属部隊』を、
鴎外は先代が亡くなってから、一度も使わずに居たのだ。
大方、先代の頃よりか経済が安定して居ない今の状態で、隷属部隊の『レイ』に建物を壊しに壊されて損害賠償等を多額に請求されては溜まったものでは無いからだろう。
丁度今は、別の組織の『羊』にも悩まされている所だ。
だが太宰救出に一刻を争う今。
此処でレイ・ブラッドベリを使わず、何時使うのだ。
と、思うであろう鴎外の思考を読んで、攫われてやったのだ。
この子供は。
先代が好んで濫用した程の『怪物』への単なる興味だ。
「僕は痛いのは嫌だからぱーんと。一発でぱーんとやって欲しいなあ」
敵組織の男を挑発する様な目付き。然しその口元は笑っている。拳銃を突き付けられ、こんな場所に囚われても尚、あどけなく笑っているのだ。
「この餓鬼…」
男が握る拳銃の引き金に掛ける指が、ぴくりと動いた。この男を苛立たせれば死ねるかもしれない。そんな希望と期待を打ち砕く様な、一つの轟雷。
カッ、と光ったと思えば…直ぐ様ピシャン!と凄まじい音が鳴った。不自然な落雷だった。今日は予報ではずっと晴れの筈だった。
「ほぉら、お出ましだ」
もう一度轟いた壮絶な轟雷と共に、この建物の天井が崩壊した。太宰は口角を釣り上げる。
崩れた瓦礫が、武装した敵組織の人間に降り掛かる。拘束された太宰の目の前で砂塵が舞う。
崩れた天井から入る風に吹かれ、建物の内部で舞う砂塵はフッ、と晴れた。
砂塵が晴れると、太宰を護る様に立ちはだかる『少年』の後ろ姿があった。
黒い
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ポートマフィア『隷属部隊』 隷属者No.01
レイ・ブラッドベリ:身長173cm。体重57kg。非常に強力な異能を有すが、人間の血を必要とする。大人しい印象だが、敵味方関係無く殲滅してしまう事がある。命令違反も多々ある為、扱いは困難。
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χCielχ(プロフ) - 綺弌さん» うわーーーありがとう!それにも続編が笑笑((ぉぉぉぉ楽しみにしてますっっ!! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 姫歌さん» やっと続編できましたありがとうございます…エエッいいんですか!? (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
綺弌(プロフ) - 50話到達おめでとう〜(*’ω’ノノ゙☆パチパチ 毎日読むのが楽しみで仕方無かった!! 擬音復唱シリーズ続編の方でも楽しみにしてるね!!← 私の方もあともう少しで公開の準備が整うよ!! (2019年3月24日 17時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 続編のお祝い小説書いていいですか(真顔) (2019年3月24日 16時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 詩歌さん» ひええええうれしいです!ふぉっ、お、乙彦さんですか超うれしいです!!彼が一番格好いい人だと私も思ってます( ˇωˇ ) (2019年3月24日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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