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少しばかり思い出して居た。昔の事を。何時にも増してぼうっとするレイに、太宰は声を掛ける。
「レイ君」
「…なんだ?」
間の空いた返事をし、太宰と目を合わせる。
「今日はね、是非君にして欲しい事があるのだよ」
太宰はレイに背を向け、扉のノブに触れる。レイはふかふかな
寝台から名残惜しそうに立ち上がる。出来る事が限られて居る自分にして欲しい事とは何だろう。
振り返る太宰の横顔。綺麗な横顔だ。
「何、単なる教育だよ」
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広い空間。薄暗い場所。一方的な打撃音が聞こえる。
____『私が指示を出すまで動かないで』。
そう太宰に云われ、レイは端の方でその様子を見て居た。だが、これは。
「本当に無能だなあ。何時に成ったら判るんだい芥川君」
と、弱って居る黒い髪で毛先の白い少年…芥川の腹部を一蹴り。先程から見て居たが、かなり厳しい『鍛錬』だった。芥川の咳も更に悪化する。
この組織で生き残る為にしている事だとは判っている。これが
芥川の為であるとは判って居る。だけれども、
「一度実践しないと判らない様だ」
と、太宰が芥川に拳銃を向けた。本気で撃つ心算だ。太宰の目を見れば判る。然し芥川があの状態では異能で防ぐ余裕も無い。
「だざい、だめだ」
咄嗟にレイは割って入り、太宰の手首を掴んだ。闇の深い太宰の目と鋭い表情は、レイを視界に捉えた途端薄れた。そうして太宰は、深く溜め息を吐く。
「矢っ張り止めに来たねえ…君」
レイの事だ。必ず止めに来ると思って居た。然し芥川からすればとんだお節介だ。芥川は倒れたまま、「邪魔をするな」と云う尖った視線をレイに投げる。
「おや…随分嫌われて居るじゃない、レイ君。今日は君に、彼の指導を任せてみたいのだよ」
芥川は地面に手を着き、ふらふらと立ち上がる。その目はまるで狂犬。
「…隷属者如きの指導など要らぬ。太宰さん、続きを」
苦しそうに咳き込んだ芥川。芥川は相当レイを嫌悪している。
最近の太宰が、織田だけで無くレイの事も話すからだ。自分と比べる様に。
太宰が芥川とレイを比べるのは当たり前だ。芥川はその方が格段に伸びると云う事を、太宰は知っている。
「芥川君。云って置くけど彼は弱者だから隷属させられているんじゃあ無い。強者だからだ。もしレイ君を倒せたなら、君は確実に『強者』だ」
と…芥川にとって、かなり効く挑発をするのだ。
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ポートマフィア『隷属部隊』 隷属者No.01
レイ・ブラッドベリ:身長173cm。体重57kg。非常に強力な異能を有すが、人間の血を必要とする。大人しい印象だが、敵味方関係無く殲滅してしまう事がある。命令違反も多々ある為、扱いは困難。
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χCielχ(プロフ) - 綺弌さん» うわーーーありがとう!それにも続編が笑笑((ぉぉぉぉ楽しみにしてますっっ!! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 姫歌さん» やっと続編できましたありがとうございます…エエッいいんですか!? (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
綺弌(プロフ) - 50話到達おめでとう〜(*’ω’ノノ゙☆パチパチ 毎日読むのが楽しみで仕方無かった!! 擬音復唱シリーズ続編の方でも楽しみにしてるね!!← 私の方もあともう少しで公開の準備が整うよ!! (2019年3月24日 17時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 続編のお祝い小説書いていいですか(真顔) (2019年3月24日 16時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 詩歌さん» ひええええうれしいです!ふぉっ、お、乙彦さんですか超うれしいです!!彼が一番格好いい人だと私も思ってます( ˇωˇ ) (2019年3月24日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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