salvage15 ページ15
_
「おら、飲めよ吸血鬼」
頑なに口を閉じて居るレイの口元に、試験管を押し付ける中原。レイはそんな中原を押して引き剥がそうとする。
「いらない」
俯いて拒否するレイだが、中原はレイの腕を取って腕の傷を見た。中原はレイの様子を見て居たのだ。
「手前、自分の血ぃ飲む位に喉乾いてんだろ。いいから飲め。
手前が暴れたら善い迷惑だ」
がっ、とレイの頬を掴んで、強引に試験管の中の鮮血を飲ませた。言葉とは裏腹に、レイの喉はごくごくと美味しそうに音を立てる。
飲み干すと、少しだけ落ち着いた様子を見せるレイ。だが正直足りて居ない。
「手前も災難だな、青鯖の血飲まされてよ。ンで?どんな味だ」
「………にがい、と…あまい」
レイの答えを聞くと、少し残念そうにした中原。もっと不味そうな味を期待した。例えば善く入水するから川の味とか。腐った生魚の味とか。
「手前が『レイ』だな」
最近の太宰がレイ君レイ君云う物だから、覚えてしまった。
レイはうんうんと頷いて、中原の青い瞳をじっと見詰めた。
「…んだよ、うんとかすんとか云え」
「すんすん」
「おい」
この阿呆みたいにフワッフワした雰囲気。おまけに人間離れした風貌。太宰が此奴について五月蝿く話すのも、何となく判る気がする。普通、うんとかすんとか云えと言われて「すんすん」と返すか?百歩譲っても「すん」だろう。
いや、そこではない。早くもレイのペースに呑まれる中原。
「おまえは?」
「あ?」
「なまえ」
子供の様な話し方。マフィアの中で中原の事を知らないとは、
本当に隷属的身分なのだろうと思った。中原も一戦交えたくなる様な強者が、隷属者とは。そんな事を考えて居た。暫くして中原はレイの質問に答えた。
「中原。中原中也だ」
「なかはら、ちゅうや…ちゅうや?だざいがおまえのこと話してたぞ」
太宰が中原の事を話して居る。また碌でもない事を話して居るのは判って居るが、気になってしまう。二人は地面に座って向き合って話した。不思議な光景だ。
「太宰が俺の何を話したって?」
「ちゅうやの苗字の『なかはら』は偽名で、ほんとは
『なめくじ』っていうんだと。よろしく、なめくじちゅうや」
思わずレイに手が出そうになる。怒りを耐える中原。レイは
悪くない。悪いのはあの青鯖野郎だ。
わなわなと震える中原に、さらに追い討ちをかけるレイ。
「どうした?なめくじ」
_
ポートマフィア『隷属部隊』 隷属者No.01
レイ・ブラッドベリ:身長173cm。体重57kg。非常に強力な異能を有すが、人間の血を必要とする。大人しい印象だが、敵味方関係無く殲滅してしまう事がある。命令違反も多々ある為、扱いは困難。
457人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
χCielχ(プロフ) - 綺弌さん» うわーーーありがとう!それにも続編が笑笑((ぉぉぉぉ楽しみにしてますっっ!! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 姫歌さん» やっと続編できましたありがとうございます…エエッいいんですか!? (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
綺弌(プロフ) - 50話到達おめでとう〜(*’ω’ノノ゙☆パチパチ 毎日読むのが楽しみで仕方無かった!! 擬音復唱シリーズ続編の方でも楽しみにしてるね!!← 私の方もあともう少しで公開の準備が整うよ!! (2019年3月24日 17時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 続編のお祝い小説書いていいですか(真顔) (2019年3月24日 16時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 詩歌さん» ひええええうれしいです!ふぉっ、お、乙彦さんですか超うれしいです!!彼が一番格好いい人だと私も思ってます( ˇωˇ ) (2019年3月24日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ