salvage13 ページ13
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眉間から大量に出血して居るのだが、傷口だけが塞がっていた。レイのこれは治癒では無く蘇生に近い。死ぬ位の傷で無ければ治らない。
つまり、この少年に一度殺されたのだ。相当な腕の狙撃手だ。
「何だ…お前、」
黒フードの少年のあどけない声が響いた。少年は少し萎縮した様子で、レイに話し掛けた。確信したからだ。「これは殺せない」「為す術が無い」と。
「なんだってなんだ」
「……あ!」
少年が向こうを指差した。レイは何だと思って少年が指を差した方向へ素直に顔を向ける。
ぱん、とまた銃声。今度は左の太腿を撃ち抜かれた。
「…やられた」
腿に激痛が走っても、無表情で居る。レイは仕方無いと地面を蹴った。蹴った地面は潰れて抉れる。レイは瞬時に少年と身を詰めた。少年の鳩尾に蹴りを一発。少年は飛ばされ、地面をごろごろと転がる。
転がった少年に歩いて近付き、少年の上に跨がって乗る。少年のフードを取って顔を見た。
その顔は、中々に綺麗で。亜麻色の髪に、金色の瞳。長い睫毛。ただ、綺麗だと思うより先に驚いた。レイは個人的に、この少年を知っていた。
「____おまえは、」
「…っげほ、は…早く、殺せば」
何もかも諦めた様な瞳。この世界に意味など無いと主張する様な無感情のその瞳。
「でも、まあ…死ぬ前に一つ教えてよ、『怪物さん』」
少年は笑った。こんな窮地でも笑うのだ。似ている。場違いな
笑顔を貼り付けた少年の顔が、如何しても…彼に。
「…この世界に…俺が生きる意味、あったのかな」
それは死を直前にして居るから云えた、少年の弱音だったと思う。何の為に生きているの。意味なんて無かったと少年は怪物に伝えた。
悲しそうに、切なそうにそれを云う少年を、レイは放って置け無かった。
「…ある」
気付いた時には、言葉が出て居た。
「この先、生きていればおまえにも、『大切』だと思えるひとが、きっと…かならず、出来る。おまえのことを『大切』だとおもうひとは、かならずいる。そうすれば意味が出来る。だから、
だから、生きろ」
心の中で泣き叫んで助けてと云って居るなら、救いたい。それは、この少年に限らない。泣いている事さえ見抜けない…あの
青年もだ。
レイは少年の額に触れる。
「わるいな。もうにどと、おまえに催眠をかけるつもりは…なかったのに」
レイは、少年の記憶から今日と云う日を…抹消する。
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ポートマフィア『隷属部隊』 隷属者No.01
レイ・ブラッドベリ:身長173cm。体重57kg。非常に強力な異能を有すが、人間の血を必要とする。大人しい印象だが、敵味方関係無く殲滅してしまう事がある。命令違反も多々ある為、扱いは困難。
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χCielχ(プロフ) - 綺弌さん» うわーーーありがとう!それにも続編が笑笑((ぉぉぉぉ楽しみにしてますっっ!! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 姫歌さん» やっと続編できましたありがとうございます…エエッいいんですか!? (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
綺弌(プロフ) - 50話到達おめでとう〜(*’ω’ノノ゙☆パチパチ 毎日読むのが楽しみで仕方無かった!! 擬音復唱シリーズ続編の方でも楽しみにしてるね!!← 私の方もあともう少しで公開の準備が整うよ!! (2019年3月24日 17時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 続編のお祝い小説書いていいですか(真顔) (2019年3月24日 16時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 詩歌さん» ひええええうれしいです!ふぉっ、お、乙彦さんですか超うれしいです!!彼が一番格好いい人だと私も思ってます( ˇωˇ ) (2019年3月24日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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