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「チビ」



「全然」



「童顔」



「全く」




先程から太宰が北森に対して悪口を云うが、北森のメンタルは一向に折れない。「泣かしてくれ」と云われて若干気が引けたが北森が何をしようとしているのかは、太宰にも判った。


こうなったら…。と、太宰は腕を組んで、鋭い視線で北森を睨み付けてみた。そうしてこう告げる。




「嫌い」




北森の身体がぴくりと跳ねた。出任せだろうと効いて居る。北森は笑顔の演技は出来るが自発的に泣く事は如何にも出来ないらしい。だからこうして手伝って居る。





「大ッ嫌いだよ、君なんて」




「…ん、」




じんわりと目元が熱くなる。行ける。余り聞きたくは無いが、
もっと来い。




「近付かないでくれる?それとも、『未だ期待して居るのかい?』私が君を嫌って居ないとでも」



北森が俯く。肩が震えて居た。耳を澄ますと、くすくすと静かに笑って居るのが聞こえた。おや、拙い。幾ら泣かそうとは云え、云い居すぎただろうか。






「____っは、それ…最ッ高だね」





顔を上げた青年。頬には無理矢理絞り出した涙が伝う。機嫌が善さそうに笑いながら。北森はその涙を絶やさ無いように、二人の警備の男達の方へ向かった。そして、






「ッ助けて下さい…!!」




警備の二人は一斉に銃を構える。傷だらけで、号泣しながら膝を着く青年に、敵意は感じられなかった。

だが男達は銃を構えたまま、北森に近付こうとしない。




「俺には…俺には無理です、怖い、大人しく捕まっとけば善かった。ごめんなさい、ごめんなさい…!」




大方、人造人間にやられたのだろうと男達は思った。彼らは最初の目的である、子息であり後継者の『保護』を最優先に遂行しようと、愚かな事に銃を下ろして北森に近付いた。


それ程までに今の北森が、憐れで惨めで可哀想な弱い青年に見えたのだ。




「ご子息様を再度保護した。問題無い」




と、通信機に話し掛ける。北森から視線を外した、その瞬間だ。



麻酔針が、一人の男の首筋に刺さる。眠る男の通信機を奪い取り、もう片方の男の眉間に銃口を突き付ける。



青年は「余計な事を話せば殺す」と、凍り付いた目で拳銃を突き付けた男の口元に、通信機を翳した。にこり、と表情を一変して。




通信機から『如何した』と声が漏れる。




「い、いえ。何の問題もありません。人造人間の兵は引いて善いかと」





ありがとう。と口だけ動かし、その男にも麻酔針を刺した。


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【要】注意異能力者

北森鴻:十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。


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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで!!会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、!このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年12月23日 21時) (レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました!それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます!!!!!面白いといっていただけて何よりです!! (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…!連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません!!ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです!! (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です!本当にありがとうございます! (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:χCielχ | 作者ホームページ:χCielχ  
作成日時:2019年1月19日 15時

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