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「白い髪…鎖の男?」
太宰が食い付いた。太宰の表情は酷く驚いた様で、瞬きをする事すら忘れている。
「知ってる?」
「…まあ、ね。でも…真逆。彼は四年前に」
太宰が急に口を噤んだ。口走ってはいけない様な事を云い掛けたのか、無意識に口に手を当てていた。
「彼の事だ。可能性はある。それで、鴻君大丈夫だった?何もされて無いかい?」
太宰は北森の首筋を見た。そこに何の傷も無い事に安堵し、ほっと胸を撫で下ろす。
「蹴られたかな」
「え、善く無事だったね」
無事では無かったが、事前に中原の蹴りを喰らっている身だ。
只、今はあの少年の異能が気になって仕方なかった。知れるのならば知りたい。何よりあの様な異能…聞いた事が無い。
それにあの少年には、何処か見覚えがある。だから知りたい。
「レイ、って云ってた。あの男の異能…知ってるなら教えて」
すると太宰は、楽しそうに笑った。北森を指差して、その指で北森の額をつつく。
「はいはいそう急かさない。それにね、彼の異能は口外しないって…昔彼と約束したんだ。でもまあヒント位ならあげよう」
そうして焦らす様に一息置いて、目を鋭く光らせた。まるで、少年の異能を表すかの様に。
「レイ・ブラッドベリ。神話に登場する…化け物の異能者力さ」
云い終えると、また笑って誤魔化した。
「神話の…化け物」
紅系の薔薇色の瞳。端正な容姿。雷を操り、霧になる。会話をした時に見えた、針の様に尖った犬歯。
それらを踏まえた、神話の化け物。
「さ、私お腹空いちゃった!あのね、これ食べたくて持って来たんだよ」
ぱん、と空気を変える様に手を叩いた。ハッ、と北森は考える事を辞めてしまった。そんな事等如何でも善い程、目の前の光景に目を奪われた。
太宰が無邪気な笑顔で、北森特製の林檎のポテトサラダを持参していた。
「好きなんだね」
「衝撃受けたもの!林檎のポテトサラダ」
「あの頃は幹部だったのに?庶民料理だよこんなの」
四年前、太宰は北森に惨い行為をした。然しそれはマフィアからすれば当たり前の事であった。
それは互いに
「だからこそ、だよ」
織田からの贈り物を貰ったのも、このポテトサラダを初めて食べた日だった。
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【要】注意異能力者
北森鴻:十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。
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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで!!会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、!このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年12月23日 21時) (レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました!それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます!!!!!面白いといっていただけて何よりです!! (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…!連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません!!ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです!! (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です!本当にありがとうございます! (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)
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