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夜闇に響いた銃声。
その弾丸は、中原の真後ろまで接近して居た片腕の無い人造人間の眉間を貫いて居た。
ドサ、と生々しい音を立て、人造人間の機能が停止する。
思わず中原は北森の首を絞める手を離し、壊れた人造人間の遺体を驚いた様に眺めた。
「げほ、げほ…」
青年の咳が聞こえて、中原は再び北森の顔を見た。
首を絞められ、意識が飛ぶ寸前だったにも関わらず…この青年は正確に眉間を撃ち抜いたのだ。
成程、これ程の狙撃の腕を持って置きながら…何処にも属さないとなれば、手に入れたくなるのも同然か。
中原は動けない北森を担ぎ上げた。
「何処に、連れて行くの…殺さないの」
「知った事聞くんじゃねェよ」
出来る事なら、銃を扱った事は隠し通したかった。隠し通して、何時も通り彼と関わりたいだなんて、そんな我儘…叶う訳が無かったんだ。
「……ごめんね。中原くん」
それ以上、二人は話さなかった。
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ポートマフィアビル。
ビルに着いてからは、自分で歩けと降ろされた。カツカツと中原が早足で突き進む中、ふらふらの北森はゆっくりとした足取りで中原の背を追って行く。
中原は偶に立ち止まって、此方に振り返って待ってくれたりする。
「遅ェよ、さっさと歩け」
「誰の所為…」
「あ?何か云ったかよ」
ふい、と顔を逸らして「別に」と吐き捨てた。
中原は
「ねぇ、銃返して」
太宰から貰った銃を取り上げられたので、北森は少し不機嫌そうに中原に手を差し出した。
「手前阿呆か?返す訳無ェだろ!」
「如何して?」
「はァ!?「如何して」ェ!?手前にバンバン撃たれりゃ溜まったモンじゃねえわ!」
撃つ訳が無い。それは太宰から貰った物だ。だから返して欲しいのだ。何故それが判らないのだろう。と北森は思った。
北森の依存的な思考など、判る筈が無い。
「おら、乗れ」
昇降機の扉が開き、中原は乱暴に北森の背を押した。
「…ち、」
「手前今舌打ちしたろ」
「してない」
中原が最上階行きのボタンを押すと、扉がゆっくりと閉まった。こんな簡単に最上階まで行けるのか?
「…簡単に会えるの。マフィアの首領とやらには」
「真逆。この昇降機は幹部クラスの人間しか使えねェよ。鍵もあるしな」
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【要】注意異能力者
北森鴻:十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。
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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで!!会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、!このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年12月23日 21時) (レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました!それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます!!!!!面白いといっていただけて何よりです!! (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…!連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません!!ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです!! (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です!本当にありがとうございます! (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)
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