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「遅いなあ中也。捕まえたら連絡頂戴って云ったのに」
太宰は、ビルの非常階段を登っていた。
途中までは昇降機で登っていたのだが、危険を察知した太宰は、二十階辺りで降りていた。
現在二十四階。
「もう疲れた。無理!もう辞めよう」
と、太宰は階段に腰掛けた。
すると、ふわりと匂った強い酒の匂い。何処からの物だろうと思った。
ふと、上の踊り場を見上げた。
「…あれ?」
黒いパーカーのフードを被った、細身の体格の少年。
この少年から酒の匂いがするのだ。真逆、こんな少年が酒を飲んだのだろうか?
少年は太宰を見て、はたと行き詰まった様に止まっていた。
下の角度から見ていた太宰は、黒フードの少年の瞳が金色に光っていたのが判った。
暫くして少年は、何事も無いかのように
「君」
太宰は冷たく澄んだ声で、少年を呼び止めた。
少年はぴたりと止まり、太宰には振り返らなかった。少年の背にはライフルが背負われており、完全に彼が『隼』だと判った。
ならば中原は?
「私、疲れて此処から先に登れないのだよ。悪いけど、背負って行ってはくれないかい?」
「…は?」
それは、少年が心から発した声だった。確かに、意味が判らなかったからだ。
「おや、随分あどけない声をしているのだね。その声ならば忘れなさそうだ」
少年は咄嗟に口を手で抑えた。太宰は口角を上げ、立ち上がった。
「必ず君の翼を落とそう。『隼』」
太宰は、はぁ疲れたと階段を登って行った。
少年は太宰を撃ち抜こうにも、もう弾丸が無かった。少年は駆け足で、ビルを下った。
____三十階。
太宰は、酒の匂いが強くする扉を開けた。
「げえ、超酒くさ!何ここ!」
これは少年の異能力だ。詳細は判らない。
余りの濃度に、バーの客や店員も倒れていた。
「…成程。酒に弱いからなあ、中也は」
太宰が空間に入ると、酒の匂いは普通の匂いにふわりと戻った。
太宰は倒れた中原の元に歩み寄った。
「うわぁ、酔い潰れてる」
中原は異能で倒れて居るのではなく、既に『酔い潰れた状態』である為、太宰が触れても起きる事は無い。
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χCielχ(プロフ) - 桜月さん» 昔の作品ですが、自分でも書いててすごく楽しかった思い出があります😌キャラの濃い夢主君でしたが楽しんでいただけたようで何よりでございます!出会うことが出来て良かった作品と言っていただけて本当に嬉しいです、見つけてくれて有難うございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 北森くんと太宰さんの関係が少しせつないけれど、、でも微笑ましくて、、腹黒で太宰さんloveな素の北森くんがとっても最高でした!!本当に涙なしでは読めなくらい感動しました!このような素敵な作品や北森くんに出会うことができて本当に良かったです!大好きです!! (2021年11月18日 21時) (レス) id: 125cb29da4 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» その三人ともちろん安吾さんも北森の大事な人になっています!!北森はめちゃくちゃ意地悪な子ですへへへへ...!黒の時代のミミックと対峙した所は原作、それ以外は全てオリジナルでございます!約9割ほどがオリジナルかと思われます!続編は完全オリジナルです!!! (2019年9月11日 22時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 北森くんの心を、太宰さん、織田作之助さん、中也さんの、三人でとかす物語ですね。北森くんの性格はおもぃっ切り意地悪のようですね汗。原作沿いのようですが?とりあえずハッピーエンドで続編ですね。余談?マフィアが、マリオカートで勝負って笑笑。 (2019年9月11日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 刹那さん» すすすす全て!?ありがとうございます…!こーくんですか!依存すごいですがありがとうございます嬉しいです! (2019年4月21日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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