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ポートマフィアビル、最上階。
背筋がゾッとする程冷たい執務室に、太宰は呼び出された。
首領、森鷗外からの呼び出しだった。
「ご用件は何でしょう、首領」
「それがだね。『隼』が逃げた。本日の早朝、そう報告されたよ」
太宰は変わらぬ表情で、感情の凍てついた鷗外の瞳と目を合わせる。鷗外の目線を、太宰は物ともしない。
只、何時もと変わらず平然とその場に立っていた。
「それは誤報かと」
「と、云うと？」
「『隼』は自害しました。自らの舌を噛み千切り、出血多量死に陥りました。そう云った事が簡単に出来る少年です」
あながち間違っては居ないが。
太宰の光の無い瞳に対応するのは、また光の無い鷗外の瞳。
鷗外は困った様に頬杖を着いた。
「それでは太宰君、君は『失敗』したと云う事かい？」
「ええ、その通りです。申し訳ありません」
太宰はそう云うが、鷗外自身も太宰が失敗した所など見た事が無かった。あるとすれば、死のうとして失敗した事位だ。
「今は新たに課せられた任務を遂行します」
鷗外に有無を云わせず、執務室を出ようとした。
「太宰君」
ぴたりと止まり、太宰は振り返る事無くその場に留まる。
「君が失敗するなど、有り得ない話だ」
「人間とは、失敗をする生き物ですよ」
鷗外は、それ以上言葉を返さなかった。太宰は一言「失礼します」と云う。
黒い外套を靡かせ、太宰は再び歩み出す。警備の黒服により、
扉は自動的に開いた。
＿＿＿＿今日、ポートマフィアから抜ける。
やっと、今亡き友人の言葉を果たす第一歩を踏み出せる。友人から贈られた装飾品を身に付ける事が出来る。
横目で、廊下の窓から入る夕焼けを見た。
窓の外を見ると、薄らと姿を現していた月。
今宵は満月。輝きが丸く満ちた、満潮の夜。それは祝福か、それとも。
日が海の水平線に達した。直ぐに日が暮れる。闇を取り仕切る
ポートマフィアの本格的な活動は、此処からである。
「…却説」
太宰は、夕陽の空に笑う。夕日から視線を外した。すらりとした足で、ゆっくりと長い廊下を歩いた。
コツン、コツンと靴の鳴る音だけが、孤独に響き渡る。
歩きながら太宰は、黒い外套の袖に目線を落とした。何か
嫌な物でも見る様な視線でそれを見ていた。
「…焼いちゃおう、と」
新しい服を買った際には、この外套は焼いてしまおう。
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χCielχ(プロフ) - 桜月さん» 昔の作品ですが、自分でも書いててすごく楽しかった思い出があります😌キャラの濃い夢主君でしたが楽しんでいただけたようで何よりでございます！出会うことが出来て良かった作品と言っていただけて本当に嬉しいです、見つけてくれて有難うございました！ (2021年11月27日 0時) (
レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 北森くんと太宰さんの関係が少しせつないけれど、、でも微笑ましくて、、腹黒で太宰さんloveな素の北森くんがとっても最高でした！！本当に涙なしでは読めなくらい感動しました！このような素敵な作品や北森くんに出会うことができて本当に良かったです！大好きです！！ (2021年11月18日 21時) (レス) id: 125cb29da4 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» その三人ともちろん安吾さんも北森の大事な人になっています！！北森はめちゃくちゃ意地悪な子ですへへへへ...！黒の時代のミミックと対峙した所は原作、それ以外は全てオリジナルでございます！約9割ほどがオリジナルかと思われます！続編は完全オリジナルです！！！ (2019年9月11日 22時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 北森くんの心を、太宰さん、織田作之助さん、中也さんの、三人でとかす物語ですね。北森くんの性格はおもぃっ切り意地悪のようですね汗。原作沿いのようですが？とりあえずハッピーエンドで続編ですね。余談？マフィアが、マリオカートで勝負って笑笑。 (2019年9月11日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 刹那さん» すすすす全て！？ありがとうございます…！こーくんですか！依存すごいですがありがとうございます嬉しいです！ (2019年4月21日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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