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「具合は如何?痛いよね。お腹」



北森を捕らえた時と同一人物とは思えない程、太宰は北森の容態を心配するなど、北森の事を気に掛けて居た。


変わったのは太宰だけではない。北森の方は、笑わなくなった。




「大丈夫…慣れてるから」




北森は自身の家の寝台の上で寝ていた。


太宰はその寝台に腰掛け、北森と話している。


対話が出来る位には北森も安定して来た。それは、太宰が居るからだ。




「制服、台無しにしてしまってごめんね。君の高校の制服は発注して置いたから、届くまで暫く休むといいよ」



太宰は北森から視線を外し、部屋を見渡しながら更に続けた。




「…あのね。北森君」



「うん」






「私ね…マフィアを辞めるよ。



____人を救う側になるんだ」





太宰の言葉は、暫くの間空間に留まった。しんとした空間。


可笑しいなら、笑うといい。



黒い経歴を持った太宰では、それは出来ないと誰もが思うだろう。




「…なれないと、思うかい?」




太宰は、北森と目が合わせられなかった。





くん、と太宰の袖が引っ張られた。



太宰がちらりと少年の方を向いた。







「…なれるよ、治くんなら」





少年は微笑んでいた。



北森のこの顔は、初めて見た。切なくも、心から微笑んだ様な顔は。






「………ごめん…ごめんね、北森君…」




太宰が僅かに苦しそうな顔をした。北森には、太宰が何故謝って居るのかが判らなかった。


太宰が北森にした事は、敵対している組織同士ならば、当たり前の事だからだ。



むしろ、北森が助かっている事の方が異例だ。






「治くん、何か食べて行ってよ。…どうせ、何も食べてないんでしょ」




「如何して判るの」



「…元気ないから、」




北森は心配そうに太宰に云う。『依存』する程太宰が大切ならば、それくらい簡単に気付ける。


北森自身、それが無自覚ではあるが。






「冷蔵庫に、作り置きしたポテトサラダがあって…あと、色々…賞味期限は平気だと思う」




「取って来いって事かい?」




北森は無表情で頷いた。太宰は立ち上がり、巫山戯てこう云う。




「マフィアの幹部に命令なんて、善い度胸だ!」




両手を腰に当てて云う太宰に対し、北森は目をぱちくりとさせた。太宰の明るめの姿に、北森はへにゃりと表情を崩して笑った。



北森が表情を取り戻せたのも、太宰のお蔭だ。





「…何云ってるんだか…。俺にとって、治くんは治くんなのに」




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χCielχ(プロフ) - 桜月さん» 昔の作品ですが、自分でも書いててすごく楽しかった思い出があります😌キャラの濃い夢主君でしたが楽しんでいただけたようで何よりでございます!出会うことが出来て良かった作品と言っていただけて本当に嬉しいです、見つけてくれて有難うございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 北森くんと太宰さんの関係が少しせつないけれど、、でも微笑ましくて、、腹黒で太宰さんloveな素の北森くんがとっても最高でした!!本当に涙なしでは読めなくらい感動しました!このような素敵な作品や北森くんに出会うことができて本当に良かったです!大好きです!! (2021年11月18日 21時) (レス) id: 125cb29da4 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» その三人ともちろん安吾さんも北森の大事な人になっています!!北森はめちゃくちゃ意地悪な子ですへへへへ...!黒の時代のミミックと対峙した所は原作、それ以外は全てオリジナルでございます!約9割ほどがオリジナルかと思われます!続編は完全オリジナルです!!! (2019年9月11日 22時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 北森くんの心を、太宰さん、織田作之助さん、中也さんの、三人でとかす物語ですね。北森くんの性格はおもぃっ切り意地悪のようですね汗。原作沿いのようですが?とりあえずハッピーエンドで続編ですね。余談?マフィアが、マリオカートで勝負って笑笑。 (2019年9月11日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 刹那さん» すすすす全て!?ありがとうございます…!こーくんですか!依存すごいですがありがとうございます嬉しいです! (2019年4月21日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:χCielχ | 作者ホームページ:χCielχ  
作成日時:2018年12月8日 15時

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