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北森鴻。
神奈川県立横浜市の高等学校に在学中。
高校一年、陸上競技部に所属。
中学生時代は、走り高跳びで全国大会常連の期待の新生。
高校に入学してからは、インターハイの一歩手前の関東大会止まり。
これは、太宰が調べた北森の学生生活の資料の一部だ。
彼の性格は、一見…笑顔が絶えず温厚な性格に見える。然し
それは自分を偽る為の仮面であり、北森の本性をさらけ出さない様にする為の…壁であった。
他人と関わりを深く持たぬよう、関係を隔てる見えない壁。
太宰は…北森の仕草、表情、性格、それら全てから分析していた。
北森が孤立しなければならない理由は、本性は。
彼が『無自覚依存性』であるからだ。
ミミックを撃ち抜いた瞬間、任務を遂行出来なかった罪悪感より、太宰と織田に手を出そうとした襲撃者を撃ち抜けた事が、何より心地よくて堪らなかった。
その後は、直ぐにその場を離れた。
その翌日だ。
午後五時、放課後の学校。
「おい、気合い入れろ北森。インターハイ行くんだろ?」
北森と肩を組んで、のしかかって来たのは陸上部の先輩だった。
「行きます行きますから痛い」
先輩は悪いと一言謝って、笑いながら北森から離れた。
北森の顔には絆創膏や痣が沢山あった。これは、任務に失敗した北森を、財閥がたっぷりと『躾』した痕だろう。
グラウンドの端っこにある高跳びのマットと器具。
バーの高さは、肩慣らしの百八十五センチ。
北森は伸びをし、ふぅと息を吐く。そうしてテンポ良く助走をした。左周り、左足踏み切りの背面跳躍。
バーが落ちる事無く成功する。ドサッ、とマットに埋もれ、
殴られ蹴られた身体がズキズキ傷んだ。
「…ち、」
北森は仰向けにマットに倒れたまま、拳でマットを叩いた。
「おや、不満かい?善い跳躍だったけれど」
何処からとも無く聞こえたその声。北森は同期かと思って返した。
「はは、今のは助走が駄目だったな…お蔭で踏み切りが遠かった」
と、学校用の爽やかな笑顔で返した。
「うわ、何その笑顔…気持ち悪う!」
グラウンドと学校の外を挟んだ柵。その柵の外側に、黒い蓬髪の青年が居た。
この時の北森の顔は、如何表現するべきだろうか。ぼーっと
仰向けに寝転んだまま、太宰を眺めていた。
「やぁ、北森君。あ、もう一回跳んで?撮るから」
「…何で、居んの…」
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χCielχ(プロフ) - 桜月さん» 昔の作品ですが、自分でも書いててすごく楽しかった思い出があります😌キャラの濃い夢主君でしたが楽しんでいただけたようで何よりでございます!出会うことが出来て良かった作品と言っていただけて本当に嬉しいです、見つけてくれて有難うございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 北森くんと太宰さんの関係が少しせつないけれど、、でも微笑ましくて、、腹黒で太宰さんloveな素の北森くんがとっても最高でした!!本当に涙なしでは読めなくらい感動しました!このような素敵な作品や北森くんに出会うことができて本当に良かったです!大好きです!! (2021年11月18日 21時) (レス) id: 125cb29da4 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» その三人ともちろん安吾さんも北森の大事な人になっています!!北森はめちゃくちゃ意地悪な子ですへへへへ...!黒の時代のミミックと対峙した所は原作、それ以外は全てオリジナルでございます!約9割ほどがオリジナルかと思われます!続編は完全オリジナルです!!! (2019年9月11日 22時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 北森くんの心を、太宰さん、織田作之助さん、中也さんの、三人でとかす物語ですね。北森くんの性格はおもぃっ切り意地悪のようですね汗。原作沿いのようですが?とりあえずハッピーエンドで続編ですね。余談?マフィアが、マリオカートで勝負って笑笑。 (2019年9月11日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 刹那さん» すすすす全て!?ありがとうございます…!こーくんですか!依存すごいですがありがとうございます嬉しいです! (2019年4月21日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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