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「
右手首に巻き付けられた赤いミサンガを見詰めたまま、じっと動かない北森に、織田が話し掛けた。
北森の指先が、微かに震えた。初めて感じた感情に、脳内の情報処理が追い付いて行かない。
ただ訳の判らない感情が苦しくて苦しくて、逃げ道を探していた。
「こ、これ…なに…？」
「先刻の店で買った」
「違くて、なんで、俺に？今日付き合ったお礼…？」
すると織田は、疑問符を浮かべた様な顔をした。そうして、
ただ一言こう云った。
「最初から、お前にも買う心算だった」
＿＿＿＿友人に贈り物がしたい。
織田はそう云っていた。
その意味を知った瞬間、北森の感情が爆発する様に溢れ出た。
織田が見たのは、何時もの少年の作り笑顔では無かった。
目の前のこの少年の頬に、ほろほろと涙が伝っていた。
少年は唖然とした顔で、涙の意味も判って居ないような顔をしていた。
段々少年の顔が崩れて行き、眉をハの字に歪めて目を瞑る。少年の年齢に相応しいその表情に、織田はやっと少年の内側が見えたと思った。
判る。判るよ。こう云う時に云う言葉くらい。
「あ…りが、とう…」
孤独だった少年。産まれてからずっと、こんなに温かいものを貰った事は、一度も無かった。
俯いた北森の頭に優しく乗ったのは、大きくて温かい手。
やめて、これ以上は…壊れて仕舞いそうだ。
「っば、ばか、そんなの…逆効果、」
「たまには、泣いたって善いだろう」
織田は暫く、北森を甘やかしていた。
＿＿＿＿
＿＿
走行する車。
バックミラーに映った自分の顔。酷い顔だ…目が真っ赤になっている。
「…治くんと坂口くんに…云わないでよ。泣いたとか」
「云わない」
「如何だか…」
赤信号で、車が停まった。すると織田は、万年筆とループタイをまとめた袋を、北森に寄越した。
「…何？今度は…」
「お前が持っていてくれ。俺は無くしそうで怖い」
青信号。織田は運転を再開した。織田が云うには、バーでまた
三人揃った時、二人に渡してくれと云った。
「照れ臭いんでしょ」
北森がそう突っ込むと、織田はバツが悪そうに頭を掻いた。
そして、小さく頷いた。
「判った」
北森は微笑んで云った。
＿＿＿＿然し、それは叶わなかった。
二度と、あの場所で三人が揃う事は無かったからだ。
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χCielχ(プロフ) - 桜月さん» 昔の作品ですが、自分でも書いててすごく楽しかった思い出があります😌キャラの濃い夢主君でしたが楽しんでいただけたようで何よりでございます！出会うことが出来て良かった作品と言っていただけて本当に嬉しいです、見つけてくれて有難うございました！ (2021年11月27日 0時) (
レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 北森くんと太宰さんの関係が少しせつないけれど、、でも微笑ましくて、、腹黒で太宰さんloveな素の北森くんがとっても最高でした！！本当に涙なしでは読めなくらい感動しました！このような素敵な作品や北森くんに出会うことができて本当に良かったです！大好きです！！ (2021年11月18日 21時) (レス) id: 125cb29da4 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» その三人ともちろん安吾さんも北森の大事な人になっています！！北森はめちゃくちゃ意地悪な子ですへへへへ...！黒の時代のミミックと対峙した所は原作、それ以外は全てオリジナルでございます！約9割ほどがオリジナルかと思われます！続編は完全オリジナルです！！！ (2019年9月11日 22時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 北森くんの心を、太宰さん、織田作之助さん、中也さんの、三人でとかす物語ですね。北森くんの性格はおもぃっ切り意地悪のようですね汗。原作沿いのようですが？とりあえずハッピーエンドで続編ですね。余談？マフィアが、マリオカートで勝負って笑笑。 (2019年9月11日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 刹那さん» すすすす全て！？ありがとうございます…！こーくんですか！依存すごいですがありがとうございます嬉しいです！ (2019年4月21日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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