第五十八舞『遊侠たる誤解』 ページ8
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壮絶な打撃音。
少女が見て居る事も気にせず、アイザックはゴロツキの男達を一掃した。
「憧れの『ケガレ様』の有難い暴力だ。感謝しろ」
アイザックが云うも、男達の反応は無かった。
激怒の感情だけで、この場を片付けたのだ。
「あ…それであんた、先刻悪かったな」
冗談にも「俺の女」と云った事を気に掛けた。
「い、いえ。ありがとうございました。それに貴方は…」
「俺は通り過がりの、ただのゴロツキ。大通りまで送る」
だから付いて来い、と顎で行く方向を示した。
アイザックが背を向けると、少女が叫んだ。
「アイザック・バシェヴィス・シンガーさん!」
滅多にフルネームでは呼ばれない為、アイザックは驚き、はたと立ち止まった。
「え…怖…何で知ってんの」
少女を良く見ると、何処かで見た顔だった。
「私は三ヶ月前、貴方に助けられました。私は…貴方を捜して居たんです!」
少女は、やっと見付けたと云わんばかりに歯を食いしばった。
「…無事なら良かった」
アイザックが微笑み、泣きそうな少女の頭に手を置こうとした
瞬間____、
突然、辺りが明るくなった。
アイザックに向け、照明が当てられた。
急な眩しさに目を眩ませたアイザックは、手の甲を瞼に当てた。
目が慣れる前に感じたのは、腹部に強烈な打撃。
アイザックは飛ばされ、路地裏の壁に背中を打ち付ける。
そのまま 前のめりに倒れ込むを防ぐ様に、地面に手を着いた。
「おいアルマ。熱心に調査する事ァ善いが、手前に単独は未だ
早ェ。その証拠にあッさり誘拐されちまッただろ」
アイザックは苦しそうに呼吸をしている。
「ご、ごめんなさい…でも!違うんです、中原幹部!この人は」
「話は後だ。首領が異様に手前の事心配してンだよ。そろそろ俺の胃にも穴が開くぜ、こりゃ」
アイザックが他人の打撃でここまでなるとすれば、間違い無い。
相手は、ポートマフィア幹部の中原中也だ。
「…んの野郎…」
アイザックがふらりと立ち上がり、中原を睨み付けた。
「あァ?手前…意識あンのかよ…ッて」
すると、中原が驚いた様にアイザックを見た。
今、目の前の青年がアイザックだと気付いたのだ。
「人の事は…状況を見てから殴りやがれ…脳味噌筋肉男」
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要注意異能力者____内務省異能特務課より。
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - やっさんさん» ありがとうございます!アイザックはしかも望んでない体質ですからね…!!実はこの異能兵器、考案した奴はシンガーじゃないんですよ…さて誰でしょう…??((激辛カレーは五分五分ですかね!!!?? (2019年10月1日 19時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - アイザック編を、読み切りました。アイザックさんも、厄介な体質ですね汗。とんでもな異能兵器の発動で、冷や汗でしたが、なんで良かったです。余談、激辛カレー勝負の行方や、いかに!?(笑)。二人とも、口から火を吹くか!??。(笑) (2019年9月28日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - リアさん» ありがとうございました!カレーは…そうですね、二人とも1口目でギブしてそうです笑笑 (2019年7月16日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - カレーの勝敗気になりますwwとても面白かったです!(^^) (2019年7月4日 0時) (レス) id: f94faaa2fc (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 翠柘榴さん» わーー!!ありがとうございます!見てくださったんですね…!!おっふ短気ゴリラアイザックがお世話になりました…((ひえええ勿体ないお言葉です、ありがとうございました!!!! (2019年5月23日 0時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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