第五十七舞『叱咤せよ怒号』 ページ7
_
「そいつ、離してやれよ」
アイザックは少女を指差し、云った。
「何云ってんだ餓鬼？関係ねぇだろ。英雄ごっこなら帰ってやれ」
『関係ない』と云われれば関係ないが、目の前で人が襲われそうなら放って置くのは胸糞が悪い。
何とかその場を切り上げる為、アイザックは悩んだ末に、適当にこう云う。
「そうそう、俺の女」
人差し指をぴんっと立て、少女に近付いた。
面倒な為、この様な事を平気で云い退けた。
「ッて事だから、帰ってくんない？」
アイザックは少女の肩を掴み、半ば強引に自分の方に引き寄せた。
少女は、アイザックの赤面対象から外れた年齢。
なので、この様な事を平気で出来た理由だ。
「…お前、幼女趣好かよ」
ゴロツキが引き気味に云う。
それに対し、アイザックは男に蔑みを向けた。
「はぁ？あんただって、こいつにやらしい事しようとしたんだろ？変態」
ゴロツキの男は、いよいよ腹を立て、アイザックに殴り掛かるだろう。
アイザックは、少女に小声で囁く。
「…怖いのに頑張ったな、直ぐに終わらせる」
少女の肩を掴んだ手を後ろに引き、自分の後ろに少女を誘導した。
「おい、三流。久々に会ったな…人が死に掛けた事を善い事に『俺』に成ってイキッてんなよ」
アイザックは冷静に、隻眼の男を挑発する。
隻眼の男の片目は、アイザックが異能で凍らせ、潰したものだ。
「お前…真逆…！」
隻眼の男は、漸く目の前の餓鬼が、とんでもない奴だと気づく。
「もう片方の目も、潰してやるよ」
アイザックの蹴りが、男の顔面に炸裂する。
が、その蹴りは簡単に防がれ、足首を掴まれて居た。
隻眼の男は防いだものの、アイザックの蹴りは防いでも吹き飛ばされる程だと知っていたので、男自身も驚く。
「は…ははは！細っせぇ足！」
「…ちぃ、訛り過ぎだろ…」
三ヶ月の睡眠は、アイザックの身体にかなり影響して居た。
男はそれを勘違いし、自らが強くなったと過信する。
「大した事ねぇなぁ！おチビさんよぉ！」
すると、アイザックの何かが切れた音がした。
「どいつもこいつも…！百七十センチ以下はチビなのかよ！！」
_
要注意異能力者＿＿＿＿内務省異能特務課より。
アイザック・バシェヴィス・シンガー：身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 429人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» ありがとうございます！アイザックはしかも望んでない体質ですからね…！！実はこの異能兵器、考案した奴はシンガーじゃないんですよ…さて誰でしょう…？？((激辛カレーは五分五分ですかね！！！？？ (2019年10月1日 19時) (
レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - アイザック編を、読み切りました。アイザックさんも、厄介な体質ですね汗。とんでもな異能兵器の発動で、冷や汗でしたが、なんで良かったです。余談、激辛カレー勝負の行方や、いかに!?(笑)。二人とも、口から火を吹くか!??。(笑) (2019年9月28日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - リアさん» ありがとうございました！カレーは…そうですね、二人とも1口目でギブしてそうです笑笑 (2019年7月16日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - カレーの勝敗気になりますwwとても面白かったです！(^^) (2019年7月4日 0時) (レス) id: f94faaa2fc (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 翠柘榴さん» わーー！！ありがとうございます！見てくださったんですね…！！おっふ短気ゴリラアイザックがお世話になりました…((ひえええ勿体ないお言葉です、ありがとうございました！！！！ (2019年5月23日 0時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
