第九十四舞『ジェノサイド』 ページ44
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「細工されて居ましたか」
死の家の鼠、拠点。
ドストエフスキーが云う細工されて居た、とは…。
アイザックに渡したピアスが、細工されたと云う事。元より
ドストエフスキーとの取引は、このピアスが何者かに盗られ無い事が先ず前提であった。
ドストエフスキーは『全て』の情報をアイザックに与える前に、通信が切れてしまった。
「仕方が無いですね。これでは取引成立に成りません。
矢張り、武装探偵社とポートマフィアが先でしたか」
しかしドストエフスキーは、全く痛手では無いと云う表情で、
暗闇に消える冷たい笑みを放った。
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「…だ、ざ」
『君の説教は後だ。私の指示にそのまま従って』
通信機から、太宰の声が鮮明に響いた。先程太宰が居る病院に行った時は、かなり深刻そうだった太宰。
だが、安心するのはまだ早い。アイザックの瞳は何時もの強気の瞳に戻り、愛用の拳銃を片手に駆ける。
『そこ右。飛び降りて、降りたら真っ直ぐだ』
太宰はアイザックの遣い方が上手い。せっかちなアイザックの先に行くように、次々と指示を出して行く。
その素早い指示が、アイザックのスピードと合っている。
流石は、伊達に主をやって居ない。
『罠。十一時からの方向。絶対当たるな』
瞬間、十一時の方向から何かが飛んで来た。アイザックは身体を回転させてそれを避ける。
反対側の壁に当たったそれを見ると、鮮血の入った注射器が割れていた。
『それが八方から来る。当たれば君は終わるね』
「勝手に終わらすな…!!」
すると、鮮血の入った注射器が八方から何発も放たれた。手に持った銃で撃ち返したり、避けて蹴りで注射器を壊す。
完全に『対アイザック』の罠だ。
次々に放たれる鮮血の注射器。埒が明かない。アイザックは
速度の勝負に切り替えた。
全力疾走でこの場を駆け抜ける。その間、罠からは完全に背を向けた状態である。
『アイザ君!!』
バッと後ろを振り返ると、顔面擦れ擦れの一本の注射器と目が合った。
この血が、誰の物か知りもしない。
けれどアイザックの主は、自らの命を賭して護るものは…もう、
「ッ!!」
決まって居る。
アイザックの顔から、血が垂れる。アイザックに直撃したかと思えば、
「べぇ…不っ味」
アイザックは、注射器を噛み砕いていた。
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要注意異能力者____内務省異能特務課より。
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - やっさんさん» ありがとうございます!アイザックはしかも望んでない体質ですからね…!!実はこの異能兵器、考案した奴はシンガーじゃないんですよ…さて誰でしょう…??((激辛カレーは五分五分ですかね!!!?? (2019年10月1日 19時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - アイザック編を、読み切りました。アイザックさんも、厄介な体質ですね汗。とんでもな異能兵器の発動で、冷や汗でしたが、なんで良かったです。余談、激辛カレー勝負の行方や、いかに!?(笑)。二人とも、口から火を吹くか!??。(笑) (2019年9月28日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - リアさん» ありがとうございました!カレーは…そうですね、二人とも1口目でギブしてそうです笑笑 (2019年7月16日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - カレーの勝敗気になりますwwとても面白かったです!(^^) (2019年7月4日 0時) (レス) id: f94faaa2fc (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 翠柘榴さん» わーー!!ありがとうございます!見てくださったんですね…!!おっふ短気ゴリラアイザックがお世話になりました…((ひえええ勿体ないお言葉です、ありがとうございました!!!! (2019年5月23日 0時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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