神様がいるなら3 ページ37
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ru「待ってたよ」
mm「俺が帰る準備はできた?」
ru「うん。この湖に扉を開いた。いつでもあの本の場所へ帰れるよ」
mm「向こうで阿部ちゃんを見つけられたら、俺はまたこっちの世界に帰ってこれる?」
ru「あの本が扉だともう分かっているでしょ?こっちの世界とそっちの世界を繋ぐ道は、満月と新月の時に開く。戻ってくるチャンスは月に2回しかないよ」
mm「ありがとう。正直なにしたらいいのかまだ分かっていないけど・・・
でも必ず阿部ちゃんを救う方法を考えてここに戻ってくる」
ru「お礼を言いたいのはこっちの方だ・・・
呪いに逆らおうとして無理を言ってるのはこっちの方だから」
俺は、目の前で項垂れるラウールの頭を少し乱暴に撫でると、目の前の入り口に向かって歩き出した。
この世界で過ごした半月間のことがフラッシュバックする。
尻尾に感情が溢れ出ちゃうツンデレなショッピー。
なんだかんだ面倒を見てくれたフッカさん。
カメラを構える真剣な表情が印象的だったコージ。
そして
佐久間くんが作ってくれたご飯。
佐久間くんと月見酒をして語り合ったこと。
美しい薄桃の衣装を着て舞を踊る佐久間くん。
....佐久間くん
元気でいて
俺は、俺の世界でやるべきことをやって
必ずまたこの世界に戻ってくるから。
佐久間くんみたいに優しくてね、
佐久間くんみたいに美しい人を
俺は助けてあげたいんだよ。
これ以上思い出しては、この世界への未練で踏み出せなくなる。
そう思った俺は、意を決して扉への残り数歩を進み出す。
ru「あの!」
mm「ん?」
もう扉に体が入る、そんなギリギリのタイミングでラウールが声を上げた。
俺が振り返ると、その幼い顔に迷いの色がみえる。
何かを伝えるべきか、迷っているようだった。
俺が急かさずに待っていると、意を決したかのように顔を上げてしっかりと視線がぶつかる。
ru「あなたの伝言、阿部ちゃんに伝えた。
阿部ちゃん、自分の運命を受け入れたって言ってたけど、あなたの言葉を聞いて泣いてた・・・
本当はまだ、生きていたいんだと思う」
mm「・・・じゃあなおさらがんばらなきゃ」
俺がそう答えると、ラウールは少し安心したような顔で笑った。
おまえも大切なんだな、あの人が。
俺は今度こそ、と入り口に足を踏み出し、暗い闇の中に飲み込まれていった。
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勾玉(プロフ) - ミトコンドリア君さん» またまたコメントありがとうございます( ; ; )励みになります!いわだてをちゃんと出せなかったのは私の無計画な設定のせいです...現代編では活躍するように考えておりますので...!お気に入りキャラが見つかってくれていたら嬉しいです。明日から続編投稿しますね! (2021年4月25日 2時) (レス) id: c8ee31f7fe (このIDを非表示/違反報告)
ミトコンドリア君 - 異世界編、完結おめでとうございます!ほんとにほんとに今までにないくらい好きになってしまいました!登場人物たちもほんとに可愛くて...ひかる君とだてさん気になるところですね笑さらに現代編が楽しみになってきました!次のお話も絶対読みます! (2021年4月25日 0時) (レス) id: dfb6098aa7 (このIDを非表示/違反報告)
勾玉(プロフ) - ミトコンドリア君さん» 初めまして。コメントありがとうございます!初めての投稿なので読みづらいところも多いかと思いますが、手探りで進めております・・・続きを楽しみにしていただけたら嬉しいです。応援ありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: d721a78ff3 (このIDを非表示/違反報告)
ミトコンドリア君 - ご無理はなさらず、主様のペースで頑張ってください! (2021年4月20日 22時) (レス) id: dfb6098aa7 (このIDを非表示/違反報告)
ミトコンドリア君 - 初めまして!とんでもなくハマってしまいました...!こういうファンタジーみたいなお話すっごく好きでスノも好きなのでサイコーです!これからも応援しています! (2021年4月20日 22時) (レス) id: dfb6098aa7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:勾玉 | 作成日時:2021年4月18日 19時