縁-YUAN- ��

平行世界２ ページ19

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フッカさんの診療所を後にして佐久間くんの家へ戻る。

疲れ切って寝ている佐久間くんにご飯を作ってあげたくて、ご飯を炊いて久々に料理をした。


フッカさんの言うことが本当なら、こっちの世界の佐久間くんに何かが起これば、それが作用して俺の世界の佐久間くんにも変化が起こる可能性がある。

その変化がどっちに転ぶかは分からないが、今の状況が変わらないのならその博打にかけてもいいかもしれないと思う自分もいる。



sk「んー、目黒・・・」

mm「あ、佐久間くんおはよう。ご飯できたよ」

sk「あー助かるー・・・」


まだ眠そうな目を擦って佐久間くんは俺が渡したおにぎりを受け取った。



sk「なにして過ごしてたの？」

mm「んーっと、昨日の夜は散歩して・・・朝はフッカさんのところ行ってた」

sk「そっか。ほっといて悪いね」



俺はどんどん佐久間くんに隠し事が増えているのに
佐久間くんが謝ることなんて何もないのに



mm「舞の練習、結構大変なの？」

sk「んー、１０分近く踊り続けるからね・・・割と？」

mm「１０分！？」

sk「連続でいろんな型を舞うことでそれが祈りを意味して神様に伝わるんだって」

mm「佐久間くんは踊り子に選ばれたってこと？」

sk「んー、なんでなんだろ。物心ついたときには俺がこの役だったからなあ」



ぽりぽりと漬物をかじる佐久間くん。




sk「ほんと、年に一度この時だけは忙しいんだよね。終わったらゆっくりご飯食べて色々話そう」



”ゆっくりご飯食べて色々話そう”


現実世界の佐久間くんも、俺に声をかけるときいつもその言葉で締めくくってくれた。


それを思い出して、思わず目頭が熱くなってしまう。



sk「どした？ごめん、俺なんか言っちゃったかな・・・」

mm「ちが、ちがくて・・・ごめん・・・」

sk「知らない世界に急にきたら不安だよな。大丈夫、俺にはなんでも話して」



そう言って俺の背中をさすってくれる佐久間くんに、止めたいはずの涙がどんどん出てくる。

佐久間くん、佐久間くんに話したい話がたくさんあるんだよ。

俺が見つけた夢も、それに対しての悩みも。

俺は佐久間くんにたくさん話したいことがあるんだ。
なのに自分が弱いから、病院で眠るその姿を受け止められなくて。




mm「佐久間くんの舞、楽しみにしてる・・・」

sk「うん、ありがとう。絶対成功させるね」




そう言って優しく微笑む佐久間くんに、なぜか阿部ちゃんの優しい笑顔が重なって見えた。



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