【短編集】それ、反則ですよ。 (ページ5)

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#12　憧れの人。ページ5

『え…ま、まさかあのインタビュー、ご覧になったんですか…？』と恐る恐る聞かれる。

え、見ちゃいけなかったかな。

「うん、ごめん…見ちゃった」

『…すいませんあんなのきもかったですよね…つい髙橋選手には見られないと思って…』

「気持ち悪くなんかなかったよ、むしろ嬉しかった」って何も考えずに口から咄嗟にでてきたのは、俺が君に好感を抱いているからなのかな。

『ほんとですか！良かった～…』と目を輝かせたかと思えばホッっとしたような表情をする彼女は、俺が思っていたよりも感情が豊かなことに気付いた。

『…あ、すいません、こちらから誘っておいてなんですがそろそろ帰らないといけなくて…

あの、もし、嫌だったら断っていただいていいんですけど、連絡先、交換していただけませんか…』

と段々小さくなっていく声があまりにも試合の時とは違いすぎて、背中まで小さく見えて、その姿にやっぱり可愛らしさを感じたのは秘密。その緊張したような声で、勇気を出してくれたんだなあと思う。

「ふふ、そんな緊張しなくて大丈夫だよ

…はいこれ俺の連絡先」

『いいんですか！？』

「いいよ、その代わり…」

.

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「藍が帰ってきました～祐希さーん」

「お、どうだった？うまく話せた？」

「俺のことなんだと思ってるんですか、会話ぐらいできますよ」

「どこまで進展したの？ねえねえ」

「どこまでって…連絡先交換しただけですけど…」

「…ふーん、いいじゃん」

「…なんか弟見てるみたいだな(笑)」と年上2人にいじられるけど、俺はそんなことまったく気にしていない。

だって、

「その代わりに、藍くんって呼んでよ」

『えっ…』

口を手で覆い隠すようにして、暗かったから正直よくわからなかったけど、多分少し頬が染まっていた彼女。

『そ、れは流石におこがましいので…藍先輩…とかでもいいですか？』ってちょっと瞳も潤っていた。

「…うん、いいよ」

『…今日は本当にありがとうございました！』

『ばいばい、藍先輩』って慣れなそうな口調で言ってるのがもう、可愛くて。

思わず俺は「ばいばい、Aちゃん」って言ったけどひかれてなかったかな、って。

頭の中は1日で君だらけになってしまった。