【短編集】それ、反則ですよ。 (ページ2)

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#12　憧れの人。ページ2

「今大活躍中で今日も最多18得点のAAさんには高校生1年生の時から憧れている方がいるとチームメイトの方からお伺いしたのですが…そこのところどうでしょうか？」

『えっ、誰から聞いたんですかその話…』

「あはは、それは企業秘密ということで…」

『…男子バレーの、髙橋藍選手です。私って京都橘高校出身なんですけど、私が1年生の時から東山高校に髙橋藍選手っていうすごい選手がいるって話題だったんですよ。

でもその髙橋選手は私が1年生の時には春高には来てなくて…次の年、優勝した時試合を見ていたんですけど、一瞬で憧れの人になりました。

だから、高校生の時は少しでも髙橋選手の目に入りたくて、不純な動機ですけど(笑)めっちゃ頑張ってたんですよね。

そしたらいつの間にかこんな舞台にまで立てるようになって…きっかけは単純かもしれないけど、ここまでこれたのはある意味髙橋選手のおかげだと思います。』

「でも高校に入った時には既にAさんは有名でしたよね？」

『あはは、そうかもしれないです、そう仰っていただけるのはすごくありがたいんですけど、あの時の私なんて髙橋選手の10分の1…いや100分の1にも満たなかったですよ

でも、私が今ここにいるってことは、少しは髙橋選手に近づけたんじゃないかなあと思ってます。

いつか対面でお話してみたいですね。』

その後も続くインタビューを横目に、そんなに自分のことを語られると恥ずかしくなってきてテレビを消した。

「あ、おい！テレビ消すなよ藍～」と先輩の有志くんに言われるけど俺はそんなの知らない、これを見ていたら俺は多分他の先輩からもいじられる。

「で、こう言われてますけど髙橋藍くんはどんな気持ちなんですか～？」と煽ってくる有志くん。

「まあまあ、大人げないことしないで、他人の事情に首突っ込まないの」と祐希さん。

「…でも気になるじゃないですかー！！藍って女の人の影とか1回も見たことないし」

「…まあ気にならないと言えば俺も噓になる」

「ですよね！！

…で、どうなの」

かなり真剣な顔をした有志くんとちょっと興味津々そうな祐希さんの目を見ると話さざるを得ない。