9 ページ9
.
俺が失恋したからといって世界が終わるわけでもなければ学校が休校になるわけもないので、当たり前に時は過ぎていった。
失恋した暖かな春が過ぎて課題に追われた夏が過ぎ、少しずつ肌寒くなる秋が訪れる頃。俺は以前のようにただ君を好きでいられるようになった。
いっそのこと君以外を好きになれたら、そんなこと何度も思ったけど俺はAちゃんのことしか好きにはなれなかった。
ダメだなぁ、もう失恋して半年近く経つのにまだ君のことを諦めきれない。やっぱり俺は君じゃないとダメみたいだ。
そんなことを授業中にぼーっと考え、席替えで離れてしまった教卓の前の席の君を見つめる。
俺の席は窓際の後ろから2番目だからかなり離れちゃったな。そう思いながら君を見つめ続けていると急に後ろから椅子が蹴られる。
びっくりして慌てて振り向くと、呆れるような顔をした廉が｢次の次、海人当てられるから準備しとけや｣とだけ言ってノートに視線を戻した。どうやら俺がAちゃんを見つめていたことが廉にはバレていたらしい。
クラスメイトの音読をBGMに、次の次に読まされるであろう文章を探しておく。きっと君はこんな風に当てられる直前に焦ることなんてないんだろうな。
俺の恋を実らせてはくれないのにいつまでも心に居座り続けるAちゃん。何気ない日常もついつい君のことを考えてしまう程、俺は君に夢中だった。
俺が失恋したあの日以降、君は紫耀と一緒にいることが増えた。
あの日の俺はまさかあいつと仲良くなって｢紫耀｣｢海人｣と呼び合う仲になるだなんて思ってないんだろうな。
そんなことを考えながら、当てられることなんて忘れて紫耀と仲良くなった日のことを思い返す。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 157人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もか(プロフ) - もちさん» ありがとうございます(；；)亀更新ですが、これからもよろしくお願いします…！ (7月29日 17時) (
レス) id: cefc2b5555 (このIDを非表示/違反報告)
もち(プロフ) - すごく好きです！応援してます🌟 (7月7日 2時) (レス) @page33 id: 1cff44b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もか | 作成日時：2022年12月12日 21時
