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「しんぺいさんっ!無事で、よかったです…!」
「?なんの話?」
きょとんとした顔でこちらを伺う彼に違和感を覚える。なんであんな大戦だったのに、何事もないかのように…。
しかもいつもだったら笑顔で迎えてくれるはずの彼が神妙そうな面持ちでこちらを疑視しているのだ。
まるで、
「てか、あんた誰?」
私を忘れてしまっているかのように。
「し、んぺいさん…?」
「見たところメイドやけど…新人か?自分で言うのもなんやけど、これでも幹部やから。口の利き方弁えた方がええで。」
「メイド…?私が?」
自分の姿を見ると確かにメイド服を着ていた。ピリッと変わった空気に、嘘ではないことを思い知らされる。
なんで、忘れられているんだろう。
なんで、思い出して、もらえないんだろう。
おかしい、何かがおかしい。なんで、
頭がうまく回らず、すぐさま部星を出た。
先ほどまでいた部屋に駆け込む。扉が閉まったと同時に涙が溢れ出てきた。
生きていたことへの嬉しさ、忘れられていたことへの悲しさ、悔しさがぐちゃぐちゃになったのだ。
わからない、なんでこんなことに。
ぼろぼろと涙を流しながらも、だんだん冷静になってきて、机にあるペンと紙をもって今まであったことを書き起こした。
鮮明に覚えている仲間の死は、書き起こすにはあまりにも辛くて、涙は引かなかった。
夢であったのか、現実であったのかは定かではないが、それよりも、忘れられてしまっている
ことが、とてもではないが受け止めきれなかった。
「私、だけ、」
私だけが、あの時を覚えているだけ。なら、彼らはあの苦しんだ記億もなく、今まで通りの記憶だけで生活していけるのだ。
それならば、私は。
「なかったことに、すればいいじゃん。」
このまま彼らが幸せに暮らせるのなら、私が忘れられていても、彼らの失われた命を見たときの心の傷より、断然マシだ。
マシ、なのに…
「寂しいよ…みんな…」
行き場のない感情が握るペンにヒシヒシと伝わっていった。
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レラ - 面白かった!! (2020年5月2日 14時) (レス) id: c77952c361 (このIDを非表示/違反報告)
あずき・FB - 初めまして、めっっっちゃくちゃ好きです!!!(唐突な告白イベ) メイドになるっていう設定も凄いそそられます…![ps.因みに続編見れなくて何回か意識がぶっ飛びました((( あぁ…非ログ勢はつれぇよぉ…(心の叫び)] (2019年12月13日 1時) (レス) id: 8e99c8eed5 (このIDを非表示/違反報告)
蒼雨茶(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただけて何よりです(;A;)続編も楽しみにしていただけたら幸いです(>_<。)またよろしくお願いします! (2019年12月4日 20時) (レス) id: e407861195 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - とても続きが気になる物語です!勝手ながら、いつも更新待っています!(’-’*)♪これからの展開がとても楽しみです! (2019年12月4日 17時) (レス) id: ccb5120fa0 (このIDを非表示/違反報告)
蒼雨茶(プロフ) - 優里愛さん» コメントありがとうございます!もうそろそろ終盤です!お付会いの程お願いします!(>_<。)ご指摘ありがとうございます。訂正致しました。 (2019年12月3日 21時) (レス) id: e407861195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼雨茶 | 作成日時:2019年11月14日 9時